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かの少年の名を、柿崎幸といいます。 長年子に恵まれなかった夫婦に宿った第一子でありまして、歓喜した親戚一同に、やれ画数だ、どれ手相だ、とああだこうだ口を出された結果、シンプルに幸いの字をポンと押された、最終的に夫婦の一粒種となる少年でした。 彼は明るく朗らかにーー少し元気がすぎるきらいもありましたがーーすくすくと育ちます。年の頃の割には両親に強く反発することもなく、異性を強く意識する余り手酷い言葉を投げつけることもなく、クラスないし学年に一人はいるような、取り敢えず裏表のない良いやつ、と言われる少年に成長しました。通知簿にも、3から4がコロコロ並び、クラスのムードメーカーです。少しばかり落ち着きがありませんが。と書かれまして、まあ普通という枠の許容範囲内でありました。 そのまま平穏(主に周囲が)に、一生を遂げることができたら良かったのですが。 彼が義務教育を後一年と半年で終えるという頃に、修学旅行がありました。とある東北の田舎町出身の幸少年は、人生で始めて本州から飛行機で飛び立ち、沖縄へと降り立ちます。 飛行機でしりとりをして、ゴーヤチャンプルーを真顔でかきこみ、旅館の部屋でうっかり鹿に乗り移られて走り回り寝相がなぜか組み体操の形になり、寝不足の目を擦りながら朝食を詰め込んで、彼らは海岸ボランティアへと向かいました。 「旅行にきてゴミ拾いとかねーわ…」 「まーいいじゃん。どうせボランティアじゃなくてもそこらへんの何やら拾って遊ぶだろうし。ワカメとかヤドカリとか。」 「幸はいいよな…ポジティブで」 「おいちょっと見ろよこれ、ヘビ皮じやね?」 「マジか…長さ的にそれなりの大きさと見た」 流石は男子中学生、田舎出身で特に素行も良好ともあれば野生生物の置き土産など格好のおもちゃでした。打ち上げられたクラゲやら列をなしたヤドカリやら、目新しいものはたくさんあり、うっかり踏みつけられた金属片は、無造作にゴミ袋に突っ込んだあとは忘れ去られる運命でした。足裏が切れた感触はしたものの、砂を払ってみればそこは確かに無傷でありましたから。 鏃だけとなった遺物の最期の足掻きだったのでしょうか、ひっそりと己の役目を果たし、矢の残骸は翌朝ゴミ処理場で炎に焼かれました。 === ジョジョキャラ出てませんがプロローグ。 男主の名前は柿崎幸くんです。かきざきゆき、短ランに白いベルト、ウォレットチェーンでヘアピンつけてる系男子。チャラやか。 ゲームはレースゲーより音ゲー派。太鼓の達人よりポップン。ポップンよりDDR。
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