「ん…」

暗闇の中、小さな声が聞こえたかと思えば声の主はふと目を開けた。

トイレ行きたいな…

寝ぼけた上体を起こし今にも閉じてしまいそうな重たい目蓋を擦りながら声の主であるセレーネは思った。
部屋に差し込む光は月明かりのみの為薄暗いが、人を踏まずに行けないことはない。
セレーネが布団から出ようと思ったその時、

―――吸血鬼がいるんだって!

ふと先ほどルイの言っていた言葉を思い出し動きを止める。

吸血鬼…ホントにいるのかな

実際にいるかは分からないが、もし本当にいたらと思うと怖くて一人でトイレまで行く勇気が出ない。

…どうしよう…このまま我慢する?

だが朝まで我慢できる自信がない。
セレーネはしばらく考えた後、隣で寝ているセイラを起こしてついて来てもらうことにした。










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