青年というには勿体ないくらいの綺麗な白い肌と長い艶めく黒い髪、目はパッチリとしているものの鋭い真っ黒な瞳、鼻はスッと通り背も高く180cmはあるように見える。痩せすぎでもなくガッチリしている訳でもなく、程よい筋肉の付いていそうな体格。
纏う雰囲気には何処かに気品があり、彼の周りだけは輝いており、世界が違って見える。
まるで白黒の世界にある唯一の色の付いた人物で、きっとこんな人の為に美青年だとか容姿端麗などという言葉はあるのだろうとセレーネは頭の中で思った。
そんな容姿の青年がいたずらっ子のような笑みをうっすら浮かべ、セレーネにまた問いかけた。
「こんなところで何してるの?」
「え…っと…人探しをしてて…」
「へぇ」と小さく呟いてから彼はセレーネの周りをちらりと見回した。
「ここはお前がいた世界とは違う場所。何が起こってもおかしくない」
彼は手摺に両肘を付き寄りかかり身を少し乗り出しながら真っ直ぐにセレーネを見つめる。
「危ない場所なんだ。それでもここで友達を探し続けるの?」
少し試すかのような言葉にセレーネは少し困惑したものの、頷いた。
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