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壁はコンクリートで出来ておりひんやりとした空気がセレーネを包む。そんな静寂の中、コツンコツンと彼女の足音だけが響いていた。
先ほど聞こえた足音の主を見失わないようにと焦る気持ちからか、不思議と恐怖はなかった。セレーネはまるで取り付かれたかのように、夢中で階段を降っていく。

一体どのくらい降りたのだろうか。長い階段の終わりが見えた頃には、ずっと降っていた為か体の感覚に少し違和感を覚えた。
顔を上げた先には一本に伸びる長いコンクリートの廊下が姿を表す。壁には蝋燭がかかっており、ゆらゆらと炎が揺れる。

少し息を整えて、ゆっくりと目を閉じ耳に神経を張り巡らせる。



―――コツン、コツン


さっきよりもはっきりと響く誰かの足音に、セレーネは急いで最後の一段を降りて廊下に足を踏み入れた。

壁に手を置いて、前へと足を進める。歩いている間ずっとセレーネは、頭の中で足音の主を考えていた。












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