ごちゃごちゃになる頭に少しだけ苛ついたのか、ルイは自分の頭をぐしゃぐしゃにする。そして、今自分が出来る最善の方法をセレーネに提示した。
「俺もいく。だけど二人だけじゃダメだ。神父さんと警察も一緒に行こう」
セレーネはルイの言葉に笑顔を浮かべながら頷く。その様子にルイは胸を撫で下ろした。
「多分もうそろそろ警察も来るはずだから、俺呼んでくるな」
セレーネを一人部屋に残してルイは部屋を出た。
そんなルイの背中を見つめてからセレーネは再び扉の奥を見つめる。
ゆらり、と揺れる蝋燭が自分を呼んでいるような気がした。しかし、それをぐっと堪える。
(どのくらい階段は続いているんだろう)
ふとそう思って扉に近付き覗き込む。急な階段ではなく、一段一段が広くなっており、左側に少し曲がっているように見える。緩やかな螺旋を描いているのだろうか。
そんな時ふと違和感を感じる。
(昔よりなんか空気が…)
今も昔も寒気がするほどの恐怖を感じることは同じだった。だけれども、昔以上に空気が重くなったように感じ、ぞくりと鳥肌が立つ。
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