「あのね、この間開いてるの見たんだから!」


「寝ぼけてたんじゃね?」


「寝ぼけてなんていない!!」


真っ直ぐ目を見つめて必死に訴えるセレーネに、思わずルイはたじろいでしまう。そして少ししてから小さく溜め息をついた。


「…そこ見たら本当に部屋に戻れよ」



「本当!?ありがとう!」


ぱっと笑顔を浮かべるセレーネに小さく笑みを返してから、自分に背を向けて早足で神父の部屋を目指すセレーネの小さな背中を見つめながら小さく呟く。






「…昔から俺がその顔に弱いこと知らずにするんだから厄介だよな」


だがその言葉はセレーネの耳に届くことなく、廊下の闇に呑まれ消えていった。













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