「だめだ」
頭ごなしに否定され、セレーネは怯む。だけれども言葉を続けた。
「もうみんながいなくなるのを黙って見ていたくなんてない!
わたしが行っても何も変わらないかもしれない…たけど、何もせずに見ているのは嫌なの!」
あの頃のわたしが一人でトイレに行けたなら、きっとセイラはいなくなったりしなかった。
何度あの頃の弱くて甘ったれていた自分を呪っただろうか。
自分よりも大切で、初めて出来た大好きなお友達。それを助けることも、見つけ出すことも、探すことでさえ出来なかった。
だから今度こそ探して助けたい。
セレーネの真っ直ぐな眼差しにルイは深く溜め息をついた。
「お前って変なとこで頑固だよな。
…分かったよ、一緒に探そう」
その言葉に思わず笑みが溢る。その後に「体調が悪くなったら隠さずすぐ言え」と条件を出されたが、探すことができるということが嬉しくて、セレーネは何度も頷き続けた。
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