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部屋に戻ったセレーネは、先ほどのことが気になって落ち着くことが出来ず、部屋の中をずっとウロウロしながら考え事をしていた。

またいなくなってしまう。
そう思った途端に黒い靄が胸を覆う。
心の中にぽっかり空いた穴。セイラがいなくなって、それが塞がったことは一度もなかった。また、穴が広がってしまう。大切な人がまた消えていく。セイラもレベッカも




―――お母さんも。

お母さんが体調を崩してから私は、お母さんに一度も会わせてもらったことがなかった。いつもお父さんがお母さんの看病に向かうだけで、いくらお願いしたり、会いたいとせがんでも、お父さんは困った顔をするだけで会わせてくれたことはない。
きっとお父さんは、眠り続けるお母さんを見た私が泣いて、また体調を崩してしまうことを心配しているのだろう。
いつも辛いことは全て自分の中に押し込んで、私とお母さんに優しい人だから。


会えない母はセレーネの中では、いなくなってしまった二人にどこか被ってしまっていた。

このままではいけない。
そう思い、セレーネは部屋の扉を開け廊下に飛び出した。













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