レベッカは両親に突然捨てられたからか、ひとりになることをとても恐れている。一人では何も出来ない。
そんな子が自分達を驚かせて困らせようとしているとは到底思えなかった。何より“一人で隠れること”が出来ないだろう。
甘えん坊で泣き虫で恥ずかしがりやで一人ではトイレも行けない。
―まるで昔の自分のような、女の子
そんなレベッカをセレーネは放ってはおけなかった。かつてセイラが自分を気にかけてくれていたように。
「わたし、探してみる」
セレーネの言葉に驚き二人は目を丸くする。だがすぐにルイは口を開いた。
「危ないからお前は大人しくしてろ」
「無茶してまた体調崩すんだから」と続けられてセレーネは口を開くことが出来なかった。
悔しそうに下を向くセレーネに近寄って頭を撫でる手。その人物に目を移すと、優しい笑顔を浮かべながらセレーネを見つめる神父の瞳にぶつかった。
神父は頭を撫でながら、ゆっくりと、そして優しく叱りつけるかのように口を開いた。
「大丈夫だよ、セレーネ。
私たちもレベッカを探すから、セレーネは自分の身体の心配だけをしてなさい。
いいね?」
「…はい」
そう小さく呟く声を見逃さないで、神父はセレーネを部屋に戻るよう促した。
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