―――――――――――――――――――――――――――――――
むせかえるほどの血生臭さが石で造られた小さな暗い部屋を包み込む。意識は薄れ、体が宙を浮いているような感覚。
だけれど地面から伝わってくる床の冷たさに体温を奪われつつも、その床の冷たさのお陰で意識を保つことができた。
頬を生温い何かが伝う。それを拭う力などなく、ただ床に崩れるように倒れた。
―――ガシャン
倒れたときに、身体には不似合いの、自由を奪う大きな重い鉛の鎖が地面に叩きつけられる。
腕には殴られたような痣と注射器か何かで刺されたような無数の痕。
その瞳は虚ろで焦点を合わせることなくただただ宙を見つめていた。
← →
[栞を挟む]