―――――――――――――――
ふわりと温かい空気が頬を撫でる。目蓋を閉じていても明るい所にいるのが分かり、その明るさに意識が戻ってきてゆっくりと目蓋を開けた。
「目、覚めた?」
目の端に映る見慣れた姿。その声の主はにこりと笑って優しく頭を撫でる。
「…お父、さん」
ボーッとする頭を気にすることなく、口は無意識に言葉を紡いだ。その声に応えるようにお父さんと呼ばれる司祭服を着た男は、セレーネにまた笑いかける。
「びっくりしたよ
見回りしてたら夜中にうろついてるセレーネを見つけて…声をかけたのに、そのまま意識を失っちゃうんだから」
そう言われ、何が起こったのかを思い出した。
あぁ、私お父さんを見てびっくりして意識を失ったのか…
ぼんやりとそう考えていると、ふとセイラの事を思い出す。
「セイラ、見なかった?」
← →
[栞を挟む]