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しばらく部屋の中でおとなしく待っていたがいつまで経っても神父は帰ってこない。

セレーネはこのままどこにいるのかも分からない、いつ戻るかも分からない父が帰るのを待つのを諦めて、廊下へと続くドアに近付き外の様子を伺う。


廊下は風で蝋燭の火が揺れているだけで、先ほど感じた気配と足音はないように思える。

ふぅ、と安堵のため息を吐いて再び廊下に足を踏み入れた。


ギィギィと音をなるべくたてないようにそっと歩く。


―――ギィ


遠くで再び足音が聞こえた。だがもう少しで部屋に戻れるという安心感から、恐怖はあるものの、先ほどのようにそこまで怯えた様子はない。

しかし、あと十数歩で部屋に着くというとき、突然近くで足音が聞こえた。その足音は先ほどとは違って速度が速い。


―――連れていかれる!

行方不明者が多いからかそんな言葉が頭を過りパニックになり、周りを急いで見回すがやはり姿が見えない。
すぐ側にいるはずなのに、暗くて姿が見えない恐怖。






―――――ギィ


すぐ側に響く音。
その時セレーネはやっと気付いた。












その音が自分の後ろから聞こえているということに。

弾かれたようにセレーネは振り返る。


そこには――――











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