とりあえず部屋に戻ろう
もしかしたら何か事情があって戻ったのかもしれないし…
そう自分に言い聞かせて足を踏み出した。
ギィギィと歩く度に床が軋む音が廊下に響く。
来るときは二人だったし話していたからそこまで気にはならなかった。だが今は一人。歩く度に響くその軋む音が、徐々にセレーネをはや足にさせる。
早く戻ろう早く戻ろう
そう自分に言い聞かせながら寝巻きのスカートの裾を握る。
その時
――――ギィ
どこからか自分以外に廊下を歩く、軋む音が聞こえ足を止める。周りを静寂が包んだ。
だがどんなに耳を澄ませても軋む音は聞こえない。
…気のせい?
そう思いまた足を進める。
ギィギィ―――――ギィ
自分が歩き出すのと同じくらいのタイミングにまたその音は聞こえた。
だがまた足を止めて耳を澄ませても何も聞こえない。
…早く、戻ろう
そう思い直し足を進める。
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