※トキ春


 これはわたしのダメなところだと思うんですけど、皆さんと距離が近づくとドキドキしてしまってすぐに顔が赤くなってしまうんです。
 一十木君、聖川さん、四ノ宮さん、神宮寺さん、翔君、セシルさん。誰といてもドキドキします。
 もちろん一ノ瀬さんにもドキドキしますけど、少し違うんです。何て言ったらいいのかわからないのですが、ドキドキしているのにそれが心地良いというか…落ち着く様な、そんな感じがします。

「七海さん」

 耳にすっと入ってくる聞きなれた声の方を向けば一ノ瀬さんがいました。彼はわたしに視線を合わせて、優しく笑みを浮かべています。  やっぱり不思議と心が和やかになっていきました。どうしてなんでしょうか?

「一ノ瀬さん…もしかして…」

「な、何です?」

「マイナスイオンを放出されているんですか?」

 あれ、一ノ瀬さんが固まってしまいました。
 もしかして当たりですか?マイナスイオンが出ていらっしゃるんですね。
 だから一ノ瀬さんの隣は居心地がいいんだ。

「君は面白いことをいいますね」

「へ?わ、わたし真面目に…」

「わかっていますよ。ですが、残念ながらマイナスイオンは出ません」

「そうなんですか?」

「ええ…。人間ですからね。それより、どうしてそんなことを?」

「一ノ瀬さんのそばにいるとドキドキするのに癒されるので」

 わたしがおずおずとそういえば、一ノ瀬さんは目を丸くしたそのあと、とても嬉しそうに笑います。

「それは光栄です。何故だかわかったらぜひ教えてください」

「はい」

「きっと良い返事ができると思いますよ」

 この時のわたしには意味がわかっていませんでしたが、一ノ瀬さんが上機嫌なので良しとしましょう。
 今から一ノ瀬さんの謎を解明してみせます。 待っててくださいね。


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