※エイプリルフールネタ


「お世話になりました」

 セプター4の特務隊一同と副長の淡島、そして伏見は宗像に頭を下げ、辞職届を提出した。 重なって机に置かれた封筒は九人分あるため、結構な厚みを持っている。

「あの…、ちょっと待っ…」

 宗像の声に知らんぷりをして、皆一礼をし部屋を出る。

「室長の顔、傑作だったな!」

 廊下に出た途端笑いながら言うのは日高で、隣では道明寺が腹を押さえている。

「静かにしろ。室長に聞こえるぞ」

 二人を注意した伏見を前に淡島はため息をつく。

「室長…エイプリルフールを知らないみたいね」


 始まりは一時間前のことだった。

「騙されたー」

 珍しく大声を秋山に、舌打ちをしつつ伏見が何があったか問うた。

「今日はエイプリルフールでしょう。だから弁財に騙されたんです。お前、十円ハゲできてるって」

 その会話でエイプリルフールを思い出した伏見が、宗像への腹いせに茶番劇を企画したのだ。それに特務隊と、淡島までもが参加すると言い出した。(淡島は乗り気ではなかったが、日高が餡子を奢りますと説得したらしい)
 辞職届には一人一文字ずつ平仮名を書いてあり、繋げて読めば『うそですしつちょう』となる。
 宗像が気づくのが早いことを、淡島は願った。


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