広がる真っ赤ななにか






なんで、どうして

僕の回りには真っ赤な液体が溢れている それも、鉄の匂いのする液体


バシャバシャとまとわりつく赤い液体をかき分けながら僕はここからはやく上がりたいと思う 清潔な水で体じゅう洗い流したいと
だけどそこは岸なんか見当たらないから僕は浮かんだまま そしてぐいぐいと真っ赤な液体が僕を沈めようとする 正に血の池だ
引き込まれて息が出来なくなって気を失う



バッ!? と汗だくで僕は目が覚める そこで、夢だったのだと安心するのだ



「 ロラン 大丈夫? 」

声をかけたのは同じ部屋のベルトルトだ

『 ごめん 僕、また魘されてた 』

あの真っ赤な血の池で沈む夢は何度も見てきている
…僕の家族が皆巨人に殺されたあの日から
これは 罰なのだろうか
僕が生き残ったから
僕だけが生き残ったから


「 無理しないでね 」


ベルトルトは僕が落ち着いたのを見計らって部屋から出ていった

深呼吸をして僕はベルトルトに付いていくように部屋から出た








―あの夢に出てきた血の池が巨人の腹の中だと 僕はまだ知らない









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