最後に見たもの
「 …ははは 参ったな… 」
僕はもう動けない
壁外調査へとやって来た僕は 先程 立体機動を使い巨人を仕留めようとアンカーをうなじの部分に狙いを定めて飛ばした 返しのついたアンカーはそう簡単には外れない ガスを吹かし巨人のうなじへと向かいブレードを使い削ごうとした けれど巨人はいきなり動き出した そのせいで僕はバランスを崩した 地面へと叩き付けられた僕は痛みが体中に広がるのが分かった
ズシン…
ズシン…
うなじを削ぎ損ねたさっきの巨人が僕の方へと歩いてくる
「 〜っ!! 動かない!? 」
逃げようとするが先程地面に叩き付けられた衝撃で脚が動かない
そして冒頭に戻る
いやだ
いやだ…
いやだいやだいやだ
僕はまだ死にたくない
大きな黒い影が僕の影と混ざる
そして巨人の腕が僕に伸ばされた
「 ぐぅっ… は、なせ… 離せっ!! 」
僕の体を大きな巨人の手が掴んだもう駄目だ
もう… 僕は助からない
巨人はガバッと口を開け僕を食い殺そうとする
あぁ、 これで終わりなのか
そう思った時に
巨人の背後に飛んできた何かを僕の目が捉えた
「 そこを動くなっ!! 」
聞こえたのはあの人の声
動くなと言われても 僕は脚が動かせないから意味はないけど
ズシャッ!!
巨人のうなじを削ぎ落としたのは 人類最強 …あの人だ
巨人が倒れるとき 手を離されたところをあの人が …兵長が、落ちる僕を助けてくれた
「 おい 大丈夫か 」
「 助かり、ました… 」
元は人家であった屋根の上に下ろされた
「 動けるか? ロラン 」
「 …いえ さっき…地面…に、落ちた時に……脚を 」
僕は疲弊していた
脚が動かなくなり、巨人に食われそうになった後だ
「 そうか 仕方ねぇな… 」
「 へっ 兵長っ!? 」
兵長は僕が力なく座り込んでいた隣に座った
「 救護班を待つ 」
「 でっ、でも… 」
「 動けないお前は足手まといだ 」
そうだ 脚が動かなければ立体機動装置のバランスを取ることは出来ない
「 僕を…置いていって下さい 」
そう言った
兵長が無事ならそれで良い
こんなことで兵長を危険な目に会わせるわけにはいかない
それならば 僕を置いていって欲しいのだ
「 ふざけるな 俺の目の前で死なれるのは御免だ 」
俺はお前を …ロランを死なせねぇ
「 …兵長 」
「 今は 休め 」
良いな? と兵長は念を押すように言った
そして僕はグイッと引っ張られ、兵長の膝の上に頭を乗せる形になった
壁外調査中にこんなことをして良いものなのだろうか…
と内心思ったが疲れからか瞼が重くなってしまう
最後に見たのは 兵長の
-最愛の人の優しい顔だった
☆☆☆☆☆☆☆☆
・最近 なんかスランプっぽいなぁ…(^^;;
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