・Guten Abend
「 こんばんは 」
星空の綺麗な晩、私は誰かにそう言われた
月は闇の中で冷たく輝いていた
「 誰? 」
「 僕だよ、 ロッタ 」
「 ベルトルトくん? 」
「 うん 」
声の主は同期のベルトルト・フーバーくんだった
彼はいつもと言って良いほど ライナー・ブラウンくんと一緒にいることが多い気がする
「 こんばんは、ベルトルトくん 眠れないの? 」
「 …そんな所かな ロッタは? 」
「 私は、空が綺麗だなって思ってさ …まぁ、眠れないっていうのもなんだけどね 」
そっか と言ってベルトルトくんは私の隣にやって来た
彼は身長が高いので私は見上げる形になった
「 ロッタは月と太陽ならどっちが好き? 」
「 太陽…かな 温かいから でも、月も好きだよ ベルトルトくんみたいで 」
「 僕? 」
ベルトルトくんはきょとんとした
「 月は私達が見るときって太陽みたいに形が定まってないでしょ? 今のベルトルトくんが自分が何をしたいのかはっきりとは定まらない所がそっくり 」
「 何か僕、時々 ロッタの言葉が酷い気がするんだけど… 」
「 あ… ごめんなさい 今のは悪気があった訳じゃなくって 」
本当に悪気は無かったのだけど
他の同期が個性派だからベルトルトくんが目立たないのも分かるよ
「 …何をしたいか僕にはまだ分からないんだ ロッタ それに、僕は積極性に欠ける 言われるのも当たり前だよね 」
「 ベルトルトくん 月ってどうやって光ってると思う? 」
「 え? 」
僕はあまり詳しくないから… とベルトルトくんは控えめに言った
「 月はね、太陽の力を借りて光ってるんだ 」
だからね ベルトルトくんが迷ってたり、前に進めなくなったりしたら 私が力を貸してあげるよ
「 ロッタ… 」
「 ねぇ、ベルトルトくんは どっちが好き? 」
「 君が好きだよ 」
「 ? 」
「 僕が月なら君が太陽だ 」
だから君が好き
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