シンドリアの日常

シンドリア上空
政務官補佐であるルカーナは自身の飼っている大鷲の背に乗って ある人物を探していた


「 全く… あの人は何処に行ったんだか 」

はぁ… と、ため息を溢し 大鷲の背から街を見下ろした
こうして見ると見事な街並みである
ここシンドリアは島国で、七海の覇王シンドバットを国王とする国だ
ルカーナが探しているのはそのシンドバットであった



シンドバットは政務を時々サボる癖があり、街へと足を運ぶということをルカーナや兄のジャーファルは知っていた
シンドバットのサボった政務を片付けるのはジャーファルの役目であり、シンドバットを見つけて帰ってくるのはルカーナの役目である



ルカーナは政務官補佐という名目ではあるが、実際は近隣諸国の情勢の調査などが主な仕事で、城の中でルカーナの姿を目にすることは少ない
しかし、今日は仕事がなく文字通りジャーファルの政務官補佐をしていた
ところが 政務をしていたはずのシンドバットが部屋から消えていたのだ
ジャーファルはルカーナに探してくるようにと指示を出して冒頭へと戻るのである



「 大体 あの人は何でジャーファルを怒らせるようなことをするんだか 」

まったくである
あのジャーファルを怒らせることがどういうことなのかを妹であるルカーナは知っている
怒っている時のあの黒い笑みはとても恐ろしく 戦慄が走るものだ


「 早く見つけないとな リアン、もうちょっと高度下げて 」

大鷲の名を呼び 高度を下げるように指示を出す

リアンが指示をちゃんと聞き高度を下げたので 背中を撫でていると
お目当てのシンドバットが女性に囲まれながら歩いているのを見つけた


「 本当に あの人は… 」

本日二度目のため息を吐き 下降しながらルカーナは叫んだ

「 シン王っ!! 」

ルカーナが叫ぶと その声を聞いたシンドバットは慌てて周りの女性たちを置いて逃げようとしたが、それは叶わなかった

「 シン王 逃げても無駄だって 」

「 ははっ まいったな 」

それもそのはず
シンドバットは今リアンの脚の中に捕まっているからである

「 いい加減サボるの止めなよ」

「 サボってないぞ俺は 」

「 どこが!? 」

「 こうして街にきて 民とふれ合うのも仕事だと俺は思うんだがな 」

「 だからって 政務をサボるのは止めて下さい あんたのせいでジャーファルの仕事が増えるんですから 」

「 分かった 分かった ちゃんとする 」

「 どうだか… 」

シンドバットに文句を言いながら リアンに高度を上げさせると城の方角へと向かわせた



そのあと ジャーファルにシンドバットがこってり絞られたのは言うまでもない





(ルカーナ、助けてくれ)
(嫌だ)
(シン、ルカーナに助けを求めても無駄ですよ)黒笑

ニッコリとジャーファルはあの恐怖の笑顔を見せた






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