朝の散歩
ジュダル
シンドリアの早朝は活気に満ち溢れている昼頃と違い、少し静かだった ルカーナはこの静かな時間が好きで、いつも朝早く起きては海岸付近を歩いていた
潮風の匂いや波の音がする いつもと少し違ったのはルフが騒いでいること その原因は煌帝国の神官でありこの世界で三人しか居ないマギの一人であるジュダルが居ること 彼は堕転したマギなためルフは黒く染まっていた ピィ と白ルフは鳴いて暫くすると消えてしまった
「 なんでジュダルがいるわけ? 」
「 おっ、ルカーナじゃん よぉ 」
「 よぉ じゃないだろ 」
「 んだよ 挨拶してやってんのによ 」
黒くて艶のある長い髪を後ろで三つ編みにした紅い瞳の少年はおどけた様子でこちらを見た
あの天才魔導師であるヤムライハの結界をいとも簡単に破るなんて
「 …早くバレれば良いのに 」
「 あ? もうお前にバレてるだろうが 」
追い出してみろよ お前、迷宮攻略者だろ その金属器はお飾りか?
そうジュダルは言った
「 や、 だってメンドイし、 何よりマゴイが勿体無い 」
「 ほんっとつまんねーな そこはカッとなって殴りにこいよ」
「 どうせ浮遊魔法で避けるでしょ 」
今だってふわふわと浮いてるんだから 「 当たりー 」
「 うっざ、 シン王に言ってやる 」
「 その前に逃げるけどな 」
悪戯にジュダルは微笑む 黒いルフたちを纏って
「 朝から最悪だ… 」
「 じゃーな ルカーナ 」
また来てやる
「 もう来んなーっ!! 」
黒ルフと共に不吉なことを言い残すとジュダルは去っていった
あぁ、私の大好きな朝の散歩が
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