泣き虫さん
白龍

「 白龍様ー 何処ですかー? 」


香樹の俺を探している声が聞こえる

それでも俺はそれに答えようとはしなかった

今の涙に濡れたこの顔では香樹にきっとまた心配をさせてしまう

城の庭の茂みに隠れ香樹が居なくなるのを待つ


居なくなったのを確認し茂みから出る

「 …俺は 何をしてるんだ 」
こそこそと隠れては自分の無力さ非力さに涙を流す


「 あーっ!? 白龍様っ 見つけましたよ!! 」


「 !? さっき居なくなったはずじゃ… 」


「 白龍様が隠れていたのは分かってましたから さっきのはわざとです 」

「 なっ!? …なんで 」

「 何年白龍様にお仕えしていると思っていらっしゃるんですか それくらい分かります 」

「 … 」

無言でいると香樹は

「 白龍様はどうして私に言って下さらないのですか? そんなに私は頼りないですか? 」

「 そんなことはない 」

「 なら どうしてです? 」

「 …俺は香樹にあまり心配をかけたくない 」


「 白龍様 それこそ要らぬ心配です 私は白龍様の女官ですよ 悩み事くらいは私にお話し下さい 」


「 …すまない 」

「 本当にです 」

白龍様が泣き虫さんなのは私がよく知っていますよ と香樹は続けて言った






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