雨おと
紅炎




しとしと、と雨が降り始めた

こんな日は少し憂鬱になる


雨の日は嫌いだった



「 どーして雨降るんだよ 」


ボソッと呟いた


「 雨なんか嫌い 」


「 雨が嫌い、か 」

「 そうだよ……って誰っ!? 」


「 俺だが? 」

「 こここっ紅炎様っ!? すっすみません とんだ言葉使いをしてしまって 」

「 かまわん 俺もいきなり話し掛けてすまなかった 」




紅炎様に謝られた?
あの大総督に!?



「 いえ、私が独り言をしていただけですので… 」


「 雨が嫌い、と言っていたな 」


「 えぇ、そうです 」

「 俺も雨は好きではないな 」

「 どうしてですか? 」

「 戦をしようにも雨が降っていては兵士達の体に障る 、風邪を拗らせてしまえば元も子もないからな 」

まぁ、此れしきの雨で風邪を引くような兵は俺の軍には居ないがな

と、紅炎様は言った

「 そうですね 」

「 それで、來琳はどうして雨が嫌いなんだ? 」


「 …… 兄が亡くなった時に降っていたからですかね… 」

「 … 」

私の兄は信頼も厚く周りの兵士に好かれていた

でもある日、兄をよく思わなかった兵の1人が兄を騙して殺してしまったのだ

兄を見つけたときも今の様に雨が降っていた

「 すみません、話が暗くなって 」

「 いや、聞いたのは俺だ 気にするな 」



「 紅炎様は優しいです 」

「 そうか? 」

「 はい、とてもお優しい方だと私は思います 」













雨は嫌いだ

兄を思い出すから


でも、紅炎様と話していると憂鬱だった気が楽になった






いつか雨が好きになれたら良いのにと、雨おとに耳を澄ませた







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