一人の道化師(ピエロ)の話をしようか 彼女の愚かで矮小で悲劇な噺を聞かせてあげよう これは傍観者である俺 ここでは『H』と表記させてもらうよ 異論は認めないよ あぁ、異論など元から無いと言うのに まぁ 彼女について知っていることを話て行こうか 此れを識ったところでどうなろうと詩ったことではないが
まず一つ、彼女は笑顔で自分を偽る 本心を誰にも晒すことをしない 彼女の半身であるアレにも 幼い頃から共にいるアレにも
二つ、それらに対して嘘を吐く事に後悔と罪悪を抱くこと そんなことを止めて全て吐き出せば良いのに
三つ、彼女は少なからず俺こと、『H』に類似して酷似している
兎に角はこの三つを君らは聴いた訳だ 何?君"ら"は可笑しい? そうだろうな そうだろうとも
「 何一人で喋っているんですか 花宮先輩 」
「 おい 俺の真名を言うんじゃねぇよバァカ 」
「 あぁ、詳しくは花宮真 だよ 確か …つーか若しくはググれ 愚民ども 」
「 お前化けの皮剥がれ過ぎてんぞ 」「 先輩こそ、いつもの貼り付けたような笑顔、もとい化けの皮剥がれてますよ 」
この道化師はやはり俺と同類か
「 うっせぇ お前またやられたんだろ カワイソーに 」
「 心にもないことを その棒読みで分かりやすいです 」
苛められるのにはもう慣れっこなんだよ と嗤う
こいつと初めて会ったのは今いるストバスだ こいつのことを詳しく知ったのは俺の知り合いが帝光にいたから
仮面を被って心を偽って 感情を押し殺して一人で悩み苦しんで
滑稽だと 俺は思ったな
「 無冠の五将 『悪童』の花宮先輩が何で 此処にくるんですか 冷やかしなら帰ってください、てか帰れもう来んな 」
「 おーおー 酷ぇな 」
「 受験生が遊んでて良いんだか 」
「 生憎だが俺の頭は凡人より良く出来てんだよ バァカ 」
「 暇人が 」
罵詈雑言とはこのことだな
「 花宮先輩は 滑稽だと思いますか? 」
「 あぁ、思うね 」
道化師のように仮面を被って日常を過ごして 本心を見せない君は 酷く滑稽だと思うね
傍観者『H』は道化師の日常を語る
(ところで先輩) (んだよ) (何処の高校行くんですか) (そんなの聞いてどうすんだよ)
(参考までにですけど) (…霧崎第一) (あぁ、あのお坊っちゃん校) (なんか文句あんのかよ) (頭の良い先輩に合ってるんじゃないですか?) (それは俺に対する嫌味か) (普通に誉めただけですけど) (…お前のは誉めてんのか貶してんのか分かんねぇよバァカ)
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