―なんであんたなんかがっ!!
―ちょっとバスケが皆より上手いだけじゃん
―先輩を差し置いてレギュラーだなんてどうかしてるよねー
陰でこそこそと聞こえた自分への言葉
小さい頃からバスケが大好きだった
ボールの感触、ゴールに入った音、バッシュのスキール音
それらがとても大好きなものだった
入学してから女バスに入って2ヶ月もしないうちに一軍に上がり、レギュラーになった
あの時は楽しかった
でもあの時、気付いて無かったんだ
これから先に何が待っているのかを
「 ちょっと!! 聞いてんの? 」
「 何 ボーッとしてんだよっ 」
ドンッ!!
「 つっ!! 」
蹴られた あーあ、また汚れちゃった
「 何とか言えよ 」
「 怖くて言えないんじゃない? 」
「 あはっ ウケるそれー 」
呼び出されたのはこれで何回目かな
数えきれないな
部活、どうしようかな
大好きなバスケが出来なくなるのは嫌だな
でも、辞めれば楽になるのかな
そうして女バスを辞めた
別に何も感じなかった
休みの日にストバスに行けばいいや なんて思っていた
―傷付いた心に蓋をしたら
少しは楽になった気がした―