確か彼女が部活を辞めてから3ヶ月くらいたったな、 と目の前にいる本人の事を思う
彼女は女バスでしかも1年でレギュラーになりエースにまでもなった実力の持ち主だ
しかし、今は部活を辞め 帰宅部らしいが
「 赤 手が止まってる 」
「 あぁ、 すまない 」
昼休み 昼食を済ませ教室から出て廊下を歩いていると大輝の双子の片割れと出会い
久しぶりに将棋をしないか、と 誘い 今に至る
「 ほら、 次だよ」
「 うーん… 」
彼女に将棋を教えたのはいつだったか
教えたその日に彼女が思ったより呑み込みが早く俺と対戦して互角に渡り合えるようになって感嘆したのを今でも覚えている
「 じゃあ これで 」
「 ふうん、 腕は落ちてないみたいだね 」
「 まぁね 」
「 でも 俺の勝ちだ」
パチンっと最後の一手をうった
「 うっわ 負けた 」
「 残念だったな 」
「 …… 」
「 どうかしたのか? 」
「 赤は、さ… 」
「 俺が? 」
「 いや 何でもない 」
「 そうか 」
「 じゃあ そろそろ帰るよ 」
席を立ち、教室から出ていく陽輝の後ろ姿を赤司は暫く眺めていた