小説 | ナノ
僕のこと



やあ、こんにちは 僕は「鮮魚イワトビ」の看板猫のルル
女みたいな名前だが、あいにく僕は三毛猫の雄だ
名前にあまり文句は言えない 何故ならこのルルという名前を付けてくれたご主人は僕が子猫の時に助けてくれた(拾ってくれた?)のである


僕の母親は僕とその他の兄弟達を残してふらりと何処かへ行ってしまったのだ 最初のうちは、僕や兄弟達の為に 餌をとりにいっていると思っていたけれど、何時になっても母親は帰ってこない、それどころか帰る気配すらなかった
母親が僕達から離れる時に見せた悲しげな表情はこの事を知っていたからなのだと、この時僕は思った訳だ
残された僕と兄弟達は日に日に弱っていった ついに、ある日、僕のあと三人…じゃない、三匹いる兄弟のうち二匹が陽が昇る前の寒い朝に死んでしまった
そして、最後一匹の兄弟も二匹が死んでしまった事を悲しみ、鳴き続けて次の日には冷たくなって逝ってしまった
僕はというと、もうそろそろ意識が無くなると思った時に、ご主人に助けられたのだった
暖かなご主人のエプロン(うっすらだけど、魚の絵が載ってた)のポケットは僕の冷めた心と体を温めてくれたことを今でも覚えている
ご主人は死んでしまった兄弟を、それはもうたいそう優しく供養してくれた

だから僕は死んでしまった兄弟達の分まで精一杯生きようと思ったのだ ご主人の側で







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