花火



ずんずんと歩いていく赤司くん 付いていくのに私は一苦労だ
なんでこんな山道を歩かないといけないんだろうか

「 ねぇ、赤司くん どこまで行くの? 」

「 もう少しだ 」


この質問も、この答えも何度目だろう


夏祭りに来たのに 赤司くんが、見せたいものがある なんて言い出して、今に至る



流石に疲れた私は地面にへたりこもうとした その時に

「 着いたぞ 」

赤司くんはそう言った

着いた場所は先程の、木々に覆われた山道とは打って変わり、広く開放的な場所だった
空には星がきらきらと光を放っていた

「 わぁ〜 綺麗!! 」

「 もっと綺麗なものが見れるぞ? 」

「 え? 何 」


ドンッ!!

大きな音と共に、空には花火が上がった




「 わっ!? びっくりした 」


花火の音に若干びっくりしながら空を見上げる

「 綺麗だろ? 」

「 うんっ 」

滅多に見せない笑顔の赤司くんが花火をバックに振り向いてそう言った

浴衣姿の赤司くんもカッコいいなぁ
いつも見るのは制服やユニホームくらいだし 休日は赤司くんと遊びに行くこともないから私服を見たことがないので 余計見とれてしまう

「 赤司くんも綺麗だよ 」

「 男に綺麗は無いんじゃないか? 」

「 でも、綺麗 」

不満を口にするものの赤司くんはなにやら機嫌が良さそう


「 一応は誉め言葉だし、受け取っておくことにするよ 」

「 ありがとう 赤司くん 」



それから暫く 空に咲く大輪の花を二人で見ていた
この瞬間がずっと永く続きますように、と願いながら

手を繋いでいた














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