お寺に泊まろう!13
和尚に押し付けられた書物は、心構えからstartして、行為による効用、相手の女性についての規定、床入りの作法、そして発展編として体位の紹介ときた。
しかしなぜだ。ここにきて、次は男性器の動かし方。
今更じゃねえか。順から考えて、それは床入りの作法の後にでも持ってこないと、少なくとも体位に生かせねえだろう。それとも、これも体位と同じく発展編に含まれる内容と解釈すべきなのか。
ちなみにやり方には九通りあって、
一、猛将が陣を撃破するように
二、野馬が流れを跳ねて渡るように
三、波間にカモメが群れて飛ぶように
四、臼の米を雀がついばむように
五、大石が海に落ちるように
六、蛇がねぐらに入るように
七、鼠が穴にかけこむように
八、鷹が兎を掴むように
九、大きな帆が強風に向かうように
(以上、要約)だそうだ。
わかったような、わからんような。
おそらくわかりやすくするため、例として動物の動作を引用しているのだろうが、体位の説明の例といい、正直よりわかりにくくしているような気がしてならない。特に三番目など、海もカモメも見た事がないオレとしてはさっぱりわからない。五番目も別に海に落ちなくてもいいだろうに。
それからついに出てきたな、雀。竹と合わせてきたら、今度こそ勘弁しねえ。
しかし、返す返すも記載の順番がおかしい。何を考えてたのかは知らんが、やはりこれ書いたヤツはえらそうな事言っておいて実は、経験がないか少ないかとしか思えない。
それでなかったら、この話の次にこんなものをもってくるはずがない。体位と大差ないと思うのだが、交わり方だ。
一、 貝の中の真珠を取るように
二、 石を割って玉を求めるように
三、 杵で臼をつくように
四、 槌で鉄を鍛えるように
五、 百姓が耕すように
六、 山がぶつかって崩れるように
(以上、要約)するそうだ。
実用的かどうかは置いておいて、そして相変わらずの例示に多少うんざりしつつ、素直に考えたのはすげえ。
どのくらいすごいかというと、体位で三十、動かし方で九、交わり方で六あるということは、このへんを組み合わせてやれということだろう。つまり、単純計算しただけでも組み合わせは一千通りを越える。実に全部試そうと思うと、毎日一回で……済むはずもないが、ともかくそういうことなら三年以上は必要ということになる。
仮にこれを嫁にしたところで、嫁が先に体壊すぞ、多分。ついでに変態呼ばわりも避けられないだろう。かといって、毎日でなくても相手を変えたとしたら、それはそれでまた問題だし、いずれにせよ変態に近い扱いはされるような気もする。
これを書いたヤツも、絶対これを全部試したわけではないだろう、その前に変態扱いされること必至だからだ。経験がないと感じるのはそういうところと思い至り、すこしすっきりした。
2012/02/02 : 初出
2012/07/30 : 加筆修正
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