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▼ 盲目と瞳

俺が海で名前に告白してからというものの、俺たちは前とさほど変わらない日常を送っていた。いつも通り俺が名前への愛の言葉をささやいて、彼を色々と支えながらも、俺自身名前に精神的な面で強く支えられている。俺はこの日常にひどく安心する。毎日名前の事を好きだと伝えられることが嬉しくて仕方ない。

あえて言うなら少しだけ変わったことが二つ。一つは名前の唇へキスができるようになったこと。もう一つは名前が俺と二人きりの時にだけよく瞼を開くようになったこと。もちろん以前と変わらず何も見えていないのだが。

理由を聞いてみたら彼はこんなことを言っていた。

「焦点の合わない目って気持ち悪いだろ?」

何も傷ついた様子なく、笑顔で言う名前に少しだけ胸が痛くなる。彼はいつだってこんな風に人を気遣っているのかと心配にすらなる。

「俺はそうは思わないけど…」
「メローネは優しいね、でもそういう人も一定数いるってこと。」

目をつぶったまま言う名前はなんだかキス待ちみたいで可愛らしい。けどそんなこと言ったらまたビンタでも飛んできそうだから俺はぐっと口を噤んだ。

それでも名前の綺麗な青碧色の澄んだ瞳が頻繁にみられるようになったのは喜ぶべきことで、それくらい名前も俺に気を許しているということだと思う。彼自身も瞼を開いていた方が視界内の明暗が分かりやすいだろうし俺も名前の瞳も見ていられるし良いことばかりだ。

「名前の目綺麗だよ、すっごく」
「ありがとう。色は昔と変わらない?」
「うん。青と緑が混ざったみたいな綺麗な色」
「そう、ありがと」

じっと名前の目を覗き込むように見ていたら名前の指が俺の顔に触れた。場所を確かめるみたいに指をなぞらせて、その指はついに唇に触れる。
すっと近づいてくる名前の唇を俺はただ見つめて受け入れた。まだ少し恥ずかしそうに口づける名前に愛おしさがじわじわと奥からあふれ出してくる。

「あー!もう!!」

俺はそんな名前にどうにもたまらなくなって、天井に向かって俺の声を捧げた。そうすればいくらか我慢していた何かが解消された気がした。

「ど、どうしたの?」
「名前が可愛すぎて襲いたくなっちゃった」
「ふふ、なんだそれ」

瞳を細めて笑う名前はどうしても尊ぶべき存在に見えてしまって、この心地いい距離感も捨てたくない。そういった色々があって、俺はいまだに名前に手を出せない。

「メローネは変なことばっかり」
「そんなことないだろ」

俺と名前はじゃれ合うみたいにぴったりとくっついて、お互いを確かめ合う様に触れ合った。それは誰にも邪魔されることのない俺たちの日常で、かけがえのない時間だった。

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