JOJO | ナノ


▼ 盲目と色彩

※(主人公盲目注意)


「メローネ、これは何色?」
名前は宝石みたいにきらきらと輝いているピアスを指先でちょこんとつまんで俺に見せてくる。その石の色は鮮やかな赤色で、まるで名前の唇みたいだ。
「赤色だね」
「そう…」
名前は聞いたくせにちっとも興味なさそうにそのピアスを適当に机に放る。
「どうしたの、そのピアス」
「僕のことを好きな男の人にもらったの」
「ふうん、妬けちゃうね」
「メローネと付き合ってる気はないんだけど」
「俺は今すぐ付き合ってもいいよ」
「考えとく」
口角を上げてふふ、と上品に笑う名前が可愛らしくて俺までつられて口元が緩んでしまう。

「メローネの髪はまだ金色なの?」
名前は俺の髪の毛をひと房すくって美しい指先で弄ぶようにくるくると動かしている。
「そうだよ、君の記憶の中の俺と一緒」
「背は随分伸びたみたいだけど」
名前は俺より数センチ小さい、いや一回りくらい小さいかも。そんな可愛らしい嫌味を込めて不機嫌そうな声で俺にそういった。

「誰だって子供のままではいられないからね」
「そうだね」
振ったり、指を通したりして遊んでいた俺の髪の毛をぱっと手放すと名前はその手のひらを俺の頬にあてがう。子供みたいな名前の体温が俺の頬の皮膚から伝わってくる。
頬から鼻、唇、瞼、眉、と俺の顔の形を確認するみたいに滑らかに手を滑らせていく。その手付きが厭に官能的で、くすぐったいのも併せて顔がひくつくのを必死に我慢した。

「顔も昔と比べたら随分大人っぽくなったみたい」
「名前も昔よりずっと綺麗になったよ」
「そう?目が治ったら鏡を最初に見てみようかな」
「いや、目が治ったらまず見るのは俺だよ。その瞬間も名前の傍にいる自信あるもん」
「ふふ、そうかもね」
俺の頬をおもちゃみたいに引き延ばして遊ぶ名前はやっぱりどこか子供じみたところがあって、今俺がこのままその可愛らしい唇に口づけをしたらどんな顔をするんだろう。なんて酷いことを考えてしまった。

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