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▼ 盲目と変態

※盲目のピアニストの続き

後に聞かされた事だったが、マネージャーは首の切り傷から大量の出血による失血死。現場には大量の剃刀の刃が転がっていたらしい。当然コンサートは中止、客の怒号飛び交う事態となった。
僕はというと、実はあまりショックを受けて居なかった。元々好きでやっている仕事でもなかったし、後任のマネージャーに言って精神的な面の療養という名目でしばらくの休みを貰ったのだ。

警察にも沢山色々な事を聞かれたが、あの声のことは言わなかった。別に殺すと脅されたからではない。本当に気まぐれのなんとなくだったのだ。

1人ではあまりにも広すぎる家は親が遺したものだった。こだわりもないから僕はずっとそこに住んでいるのだが、僕以外にもう1人頻繁にこの家に出入りする奴がいる。

「名前、事件のことテレビでやってたよ。ちょっとは落ち着いたか?」
低くて少し甘い声、僕の幼馴染のメローネの声。コイツは僕が視力を失う前からの知り合いのため、姿を知っている。
「元々そんなにショック受けてないし。大丈夫だよ」
「なぁんだ、弱気な名前が見れると思ったのに」
「見てどうするの」
「弱気な所につけ込んでそのままベットインとか?」
「くだらない…」
メローネはたまにこうやって冗談にならない冗談を言う、僕はその度にため息をついて適当にあしらうのだ。
「まぁ名前が無事でよかった。怪我一つないんだもんな」
メローネは僕を小動物でも抱きしめるみたいに両腕でぎゅっと包み込む。彼の服からは薄っすらと香水の匂いがした。

「やめろって、もう風呂入ってくるから大人しくしてろよ」
「手伝おうか?!」
「1人で入れる!!」
大声を出すメローネに商売道具の手で平手打ちをかますと僕は慣れた家の中を1人で歩くのであった。


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