むかしから、このふわふわの髪がだいっきらいだった。
わたしのことをなーんにも知らないまわりの女の子は「かわいいね」って言ってたけど、わたしからしてみれば、その子のストレートの髪の方がよっぽどかわいい。ショートカットにだってできるじゃない。わたしなんか、髪を切ったら、くるくるになって、悲惨なことになっちゃうもん。
それに寝起きだってすっごく大変。櫛でとくけれど、何回やったってするする通らないし毛先はぴょんぴょんはねちゃうから最後にはあきらめてくくっちゃうことだってたくさん。
中学生だったころのわたしは、お金もない、ただの貧乏中学生。洋服だって雑誌だって買いたい年頃で、がんばっても美容院に行くくらいのお金しか貯められなくて美容師さんにきれいに整えてもらうことしかできなかった。
でも!高校生になって、バイトを頑張ってお金貯めて、今日、初めてストレートパーマなるものかけてみたのだ!



「で、どうかな?!」
「……どうかなって…銀さんのこのブロークンハートをどうにかしてほしいよ…」
「ど、どうしたのっ銀ちゃん!」
「どうしたもこうしたも、天パが嫌いって、銀さんの心にクリティカルヒットなんですけど…」


わわわ、違うの、銀ちゃん。わたしは自分の天パが嫌だっただけ。銀ちゃんの天パは、むしろ大好きよ。銀色のかみのけ、撫でてみたら、さらさらってわけじゃないけどふわふわしてて、わたしの手によくなじむ。不思議なかみのけ、撫でるとすごく、落ちつくから。
そういえば銀ちゃんも、わたしの頭をよくくしゃくしゃにしてたね。


「お前の髪、好きだったんだけどなあ……ふわふわで気持ちよかったし、」
「そんなに気持ちよかったかなあ」
「ああ……それに、おそろいみたいで、好きなんだけどなあ」



「銀ちゃん、」
「んー?」
「わたし、もうストパーとかかけないから!」
「え?え?」
「むしろ元に戻してこようか!?あ〜ほんとになんでストパーかけたんだろう。そうだよね、おそろいだったよね」
「で、でも、銀さん今の髪形も可愛いと思うよ?」

「〜〜〜っ!銀ちゃんだいすきっ!」



/彗星バンビ
39s Que sera sera