山里合戦
*シリーズUの番外編です。
「絶対きのこさんだよ!!
きのこさん以外考えられないでしょう!!?」
「何言ってんスか!!
誰がどう考えたってたけのこさんでしょう!!?」
溜まり場であるforestの扉を開くと何やら険悪な空気が……。
ギャイギャイと言い合いをしているのは【P】の中でも仲良しコンビな筈のエンジュさんとチワさんで
とりあえずこの状況はどうしたのかと、安全地帯兼一番この状況を理解しているだろう桐さんの所へとコソコソと向かう。
「よぉ。ナツ」
「こんばんわ桐さん。
で、この状況……」
「あー…アレな……」
アレと言いながら険悪ムードを醸し出す2人に面倒くさそうな視線を向けて
「あれだ……き●この山とた●のこの里どっちが美味いかで喧嘩してんだよ」
「…………………………ああ…なるほど」
理由を聞いた瞬間に脱力感を覚えながらも理解した。
こんな喧嘩は【P】ではお馴染みのもので
アイドルの好みや、好きな漫画雑誌
呆れたモノでは、汚い話だけど和式洋式のトイレのどっちが使いやすいか等……(この時は流石に桐さんが汚い話を此処ですんなと締め上げられていたけど)
まぁ、挙げればキリが無いほどに端から見たらどっちでも良いんじゃ……と思うような事で喧嘩をするのがこのチームなのだ。
そして、それはチームきっての仲良しコンビなこの2人にも言えるらしい。
「どっちでも良いだろうがとは思うんだがな」
と綺麗な顔を歪めながら2人を見る桐さんだけど、僕としては2人の気持ちがわからなくもないかなと思っていると
「「何言ってるんですか桐さん!!」」
さっきまで口論をしていた筈の2人が此方に目を向けて来て
「きのこさんのチョコレートとビスケットの切り離された食感の楽しさは一級品なんですよ!?」
「たけのこさんのクッキーのサクサク感とチョコの甘さが相俟って幸せな気分になるんスよ!?」
なんて熱弁を振り出し、その事にわかったわかったとあしらう桐さんについ自業自得ですよと笑ってしまう。
桐さんの様にどっちも同じだろうと言う人は居るけどそれは違う。
どっちも各々に違った美味しさが有るからこそ、こんな馬鹿らしいけど本人にとってはいたく真面目な争いが生まれるんだから。
「お菓子の好みの争いは下手に口を出さない方が得策ですよ」
「………みたいだな」
僕の言い分に、桐さんは僅かに苦笑いを浮かべながらも頭を撫でてきて
ウイッグ越しだけどその優しげな手の感覚に最近は安心感を覚えてしまっている自分が何だか照れ臭い。
「そういや、お前はどっち派なんだ?きのこか?たけのこか?」
「僕はパ●の実派ですね」
「………斜めから切り込んで来たな」
された質問に間髪入れずに返すと、微妙な笑顔で笑われた。
確かにどちらも好きだけどあのパイ生地のサクサク感は譲れないから仕方無い。
「まっ。今度用意しといてやるよ」
「ありがとうございます」
桐さんからの嬉しい申し出に頭を下げると、また頭を撫でられて
その手の擽ったさと温かさに目を細めながら
未だ繰り広げられる山里合戦に僕はどっちも頑張れと心の中でエールを送ってみた。
end.
きの山さんとたけ里さんの争い……
十代男子がそんな言い合いをマジでしてたら萌えるな…と。←
本当はエンジュVSナツでチワ傍観にしたかったんですが、ナツちゃんはどうしてもパイ実さん派にしたくて…(小動物キャラはパイ実さん好きなイメージ←)
ちなみにこんな桐×ナツですがまだ付き合っておりませんですよ。
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[mokuji]
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