ビタースイート
貴文×幹哉。
※未来のお話です。
クリスマスも正月もお互いの立場上、あまり休みと言える程に休めず
忙しなく過ごす日々にイベント事を2人きりで過ごせないという事に慣れてしまいつつあったこの頃。
「そういえば、今日はバレンタインか……」
今月のスケジュールを確認する為に手帳を開けば今日が2月14日だった事に気付いた。
とは言っても、俺自身貴文さんにチョコをあげるとかそういった事は今日も忙殺されそうなスケジュールの中では無理な話だし
女性社員から山ほど渡されるチョコに毎年疲弊気味に眉根を寄せる貴文さんの負担にはなりたくないという気持ちも無くは無かった。
(まぁ、今日はこっそり気合い入れてコーヒーでも淹れるか)
そんな事を考えながら手帳を閉じると
「幹哉」
「はい?」
貴文さんから声が掛かり、そちらに目を向ければ
空のカップを俺に差し出してくるのが見えてコーヒーの催促かと席を立つ。
早速腕の見せ処かとカップを受け取れば
「甘いモンが飲みたい。ココア淹れろ」
「は?」
剰りにもらしくない言葉に一瞬呆気に取られた。
甘いモノが苦手な貴文さんがココアなんて頼むとは珍しい……というか、はじめてじゃ無いだろうか。
そんな戸惑いが面に出ていたのか、貴文さんは俺をチラリと見やりながら眉根を寄せて
「どうせ今年も忙殺されてチョコなんて用意してねぇんだろうが」
それだけ言ってまた書類に向き直る貴文さんだが
心なしか拗ねている様に見えるのは俺の気のせいか?
(やっば……可愛いっっ!!)
久々に感じる貴文さんに対するこのテの感情に胸がキュンッとなる。
成人を過ぎてからは大人の色気というか、余裕が益々出て来た貴文さんを格好良いと思いこそすれ可愛いなんて思う事は無かったのに。
(数年振りだなぁ……貴文さんを可愛いとか思うのは……)
久々過ぎて若干もてあまし気味のトキメキを感じ取ったのか、不機嫌そうな顔のまま早く淹れろと言う愛しい恋人に
「じゃあ、今日はとびきり甘いココアでも淹れましょうか」
たまには甘ったるい世間の空気紛れて甘ったるい飲み物を出してやろうと俺は踵を返した。
勿論、口直しはココア以上に甘ったるいキスで……なんてな。
end
バレンタインにUPする予定がまさかの1日遅れとかっ!!!
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[mokuji]
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