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午後10時過ぎ。名前ちゃんの後ろには男が歩いていました。
(…まただ)
名前ちゃんは無視して歩調を早めますが、後ろの男も歩調を早めます。完全にストーカーです。名前ちゃんはついに足を止めて後ろを振り返りました。後ろには誰もいません。
「浩汰、出てきなさい」
「え」
名前ちゃんが腕を組んで待っていると、近くの電柱からそろそろと男が出てきます。名前ちゃんは男を睨みつけました。
「何で後ろを歩くの、ただのストーカーになるでしょ」
「あ、でも、塾で遅くなるって言ってたから心配で、」
「だから、何で後ろ歩くの」
「あの、名前可愛いなあって見てたら、いつの間にか後ろに…」
「…」
高橋さんは筋金入りのストーカーでした。名前ちゃんはため息をつきます。
「こうたぁ、私たち付き合ってるんだよ?いい加減ストーカーやめなよ」
「え、うん…」
高橋さんは視線を道路に落とします。何だか先生にお説教されて泣きだしそうな悪ガキのようです。名前ちゃんは高橋さんを見上げながら罪悪感を感じました。
「べ、別に怒ってないからそんな顔しないでよ…」
「名前…」
高橋さんは名前ちゃんに視線を戻します。名前ちゃんは高橋さんを心配そうに上目遣いで見つめていました。とってもとっても可愛い姿に高橋さん興奮です。さらに、名前ちゃんからのトドメの一言。
「私を心配してくれるなら、普通に迎えに来てくれたらいいでしょ」
名前ちゃんは恥ずかしそうに唇を尖らせながら高橋さんの手をぎゅっと握ります。高橋さんの顔は面白いくらいにぶわああっと真っ赤になりました。
「そうしたら、ほら、こうやって手ぇ繋いで帰れるし」
名前ちゃんがそう言った瞬間、高橋さんはだらあっと鼻血を垂らしました。
「こ、この手、一生洗わない…っ」
「………」
その後、名前ちゃんはもちろん高橋さんの手を叩き落とし、1人で走って帰りました。
END
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走って帰る主人公を走って追う高橋さんが想像できます。鼻血を拭きながら。名前様、お付き合いありがとうございました。
20121020
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