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彼が好むものなど全く見当もつかなかった。

数日前、本当はサプライズで誕生日プレゼントを用意しようと思ったものの、あまりにも何が良いのか分からなすぎて遂に訊いた。

「リボーンは誕生日、何が欲しいの?」
「そうだな…お前とか、」
「えっ?」
「冗談だ。んなくだらねーことはいいから、ツナの手伝いしてきやがれ」

結局、そんなことを言ってはぐらかされてしまったのだ。何が良いのか彼女は頭を悩ませる。

(お酒とか…ダメかなぁ)

ふと思い付くものはそれしかなくて、彼女は少し高めのワインを綺麗にラッピングして彼の許を訪れた。



行くと、彼は少しだけ嬉しそうに優しく微笑んだ。

「帰ったか」
「うん。あのね、お誕生日おめでとう」
「…ああ、そうだったな」

一瞬考えるように視線を泳がせたが、思い出したかのように彼女の頭を撫でる。

「んなこといいって言っただろ」
「だって、リボーンにたまにはお返ししたいし…」

これどうかな、とワインを差し出す。一瞬驚いた様子を見せた彼が掴んだのはそれではなく、彼女の細い腕。少し強引に引っ張られ、体勢を崩すかのように彼の胸へと顔を埋めると、ぎゅうと力強く抱き締められた。

「ちょっと、リボーン…?」
「あんまり可愛いことすんじゃねえぞ」
「え…?」

キョトンとした目で彼を見詰めれば、上機嫌のような上品な艶美な笑みをこぼした。

「お前の『家庭教師』だけじゃいられなくなる」
「どーゆー、意味…?」

目を丸くする彼女を見て、またクスリと。彼はポンポンと彼女の頭を撫でた。

「お前にはまだ早ぇか」
「え…?」

それから彼女を解放し、ワインを受け取って彼女を手招きした。




彼の想いを、彼女は未だ知らない。




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2年前くらいに書いたリボーン(+10)の誕生日小説。リボーンとの小説はいつか書きたいのですが、まだ謎に包まれている人なのでなかなか…。早く大人リボーンをちゃんと見たいです。
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