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今日も仕事帰りに会いに行く。
『ザンザス、暇だから来たよ〜』
「お前はいつでも暇なんだろ」
『なっ、違っ、失礼な!』
確かに本当に暇な時もあるが、彼女なりに忙しい時間を割いて会いに来ているのに。
(ザンザスといるとストレスとか無くなるからなぁ…)
彼女はニコッと笑った。
『今日は忙しいの?』
「構ってほしいのか」
『いや、別に…』
何となく寂しく思えてそっぽを向くと、彼はフッと笑った。
「急いでやるから待ってろ」
『え…うん!』
カタカタとパソコンのタイプ音さえ、心地好い。仕事帰りに直行で来たため、疲れていたのもありうとうととしだす。
『…ザンザス、早く〜…』
「今は寝てろ」
子供扱いされるのも悔しいのでグッと堪えるのだが、それにも勝る睡魔が彼女を襲う。
『んー…ザンザス〜……』
ソファに身体を沈ませる。室内にはカタカタというその音と、彼女の寝息だけが聞こえていた。
やっと終わり、席を立つ。軽く伸びをしてから彼女の許へ行くと、規則正しく上下する胸。
「結局寝たのか」
(こいつ、俺の部屋来ると必ず寝るじゃねえか…)
少し考えてから彼女へタオルケットをかける。
(…起きねぇと何もできねぇだろ…)
隣に腰かけて髪を梳くと、彼女の肩が少しだけ上がる。
『ん、…ザンザス…、』
「…!」
起きるわけではなく、ころんと寝返りをうつだけだ。ザンザスの方へと身体を擦り寄せてきて、彼は一瞬固まった。
(早く起きろ、ドカス…)
そして また優しく、彼女の頭を撫でた。
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