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隣に座っている彼は、もううとうとと目を閉じそうになっている。彼女はそんな姿をクスッと笑い、彼の頭を撫でる。

「何フラン、もうおねむなの?」
「なっ…子供扱いしないで下さいー」

眠くないですよー、と口を尖らせると、彼はゴシゴシと目を擦った。

「別に寝ても良いよ?子供はもう寝る時間だもんね」
「だから、子供扱いしないで下さいってー…」
「あはは、可愛い」
「もー…怒りますよ、名前センパイ」

拗ねる彼を可愛いと思いながら、それ以上は黙っていた。彼はまだ、うとうとしている。彼はプライドが高いということを、彼女は十分に分かっているわけで。

「じゃあ私は寝ようかな。フランは一緒に寝てくれないの?」
「え、ああ…まぁ、センパイが寝るなら、ミーも寝ますけどー…」

そんな言い方に思わず心の中で吹き出した。

(ほんとは眠くて仕方ないくせに)

彼女は全く眠くはないのだが、「じゃあ寝よっか?」と寝室へ向かう。彼はもはや少しも開かない瞼を精一杯持ち上げて、彼女の後をついていった。
ベッドへ寝転ぶと、彼はその隣に身を納める。

「それじゃあ、おやすみなさーい」
「うん、おやすみフラン」

そんな言葉を交わして1分も経たないうちに、彼から小さく寝息が聞こえてきた。

(まだ10時半なのに…)

いつもはもっとずっと起きているのだが、昨日と今日と続く大きな任務で疲れたのだろう。普段の強気な態度から全く想像ができない、可愛い寝顔。彼女は少し目を細めて彼を見詰めてから、寝室から出ようとする。

(さて、今日の報告書を仕上げなきゃ…)

しかし、部屋を出るどころか、ベッドからすら出られないことに気づいた。出ようとしたら、彼が絡んできたからだ。まず腕を掴まれ、足に足を絡められた。それだけでももう身動きがとれないのに、極め付きの一言。

「…名前、センパ……」
「…っ!」

(寝てるん、だよね…?)

寝言で彼女の名を呼ぶくらい、彼は…。

「…もう、仕方ないなぁ」

彼女は彼をぎゅうと抱きしめ、そのまま目を閉じた。





翌朝。

「フランー、昨日寝言すごかったよー」
「はいー?センパイじゃあるまいし、寝言なんて言いませんよー」
「…失礼な。あんなに私のこと呼んでたのになぁ」
「っ!?ちょっと、嘘言わないで下さいよ…っ!」

カアァッと顔が赤くなったのを見て思わず笑ってしまった。




END

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今回は2番目に票数が多かった甘々を書きました。自分的には、オチとかないけどもう砂糖のように甘いのが好きなんですね(笑)皆様のリクエストにできるだけそえるように、これからも頑張っていきたいと思います。これからもこういった企画をしていきたいと思いますので、これに懲りずにまたご希望をお聞かせ下されば幸いでございます。

2010.09.04.
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