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―ピンポーン

インターホンが鳴り、誰かが来たのが分かった。

「はーい?」

彼女は玄関までトテトテと走っていき、何の躊躇いもなくドアを開けた。

―ガチャッ

「わっ、バジルくん?!!」

「お久し振りです、沢田名前殿」

そこには また背の高くなっていた、バジルの姿があった。

「って、何でフルネーム…」

「ああ、申し訳ありません…沢田綱吉殿を『沢田殿』と呼んでいるので、御主を何とお呼びしたら良いのか…」

「普通に名前で良いよ?さ、上がって上がってー」

「有難うございます」

彼を上にあげると、リビングに連れていく。しかしそこには誰もいない。

「あれ?沢田殿や母上様方はいらっしゃらないのですか?」

「ああ、ツナ達は特訓しにどっか行ってて、ママはランボやイーピンと買い物へ行ってるよ」

「そうでしたか…」

「バジルくんこそ、今日はどうしたの?」

「拙者は親方様に頼まれて、母上様が欲しがっていらっしゃったネックレスを届けに参りました。結婚記念日が近いそうなので」

「そうなんだ…大変なのに、ごめんね」

「いえ、拙者は名前殿にお会いできただけで 十分です」

「えっ」

(きっと本人は無自覚で言ってるんだろうな…。でも、何か勘違いしちゃうよ…)

「なっ、何か飲み物とか 飲む?」

「…名前殿?少し顔が赤いようですが…大丈夫ですか?」

「いやっ、暑いの、うん!よし、アイスココアでも飲もう!ねっ」

彼の一言に赤面してしまったことは内緒にし、彼女はキッチンへ行き、アイスココアを作りはじめた。それから何かをふと思いついたように笑顔になる。

「そうだ!バジルくん、帰る時間とか決まってる?」

「帰りですか?…そうですね、3日ほど休暇をいただいたので、拙者はいつでも大丈夫ですよ」

「やった!じゃあ、今日は私に付き合ってくれない?」

「勿論です。拙者で良ければお相手しますよ」

ニコリと笑った彼に、彼女はキュン、と胸を鳴らした。




(( 久々の休暇 ))




バジルの腕には、もうすでに6つの紙袋が吊る下げられていた。

「次はねー、」

(一体名前殿は、いくつ買えば満足するのでしょう…)

ルンルンと前を歩く彼女を不安気に見つめると、彼は苦笑いしながら彼女に続いた。

「あ、ここで服買ってもいーい?」

「勿論大丈夫ですよ」

ニコ、と彼が笑ったのを確認すると、彼女は目の前の大きなファッションショップへと入っていった。



「これかなー?うーん、こっちも良いなぁ…バジルくん、どっちが良いと思う?」

「そうですね…、名前殿ならどれを着ても似合うと思いますが、名前殿の好みもありますし、1度試着してみるのはいかがですか?」

「ん、そうだね。じゃあ着てみる!」

彼女は気に入った中の数着を手に取ると、更衣室の中へと入っていった。1着目はふわふわのシフォンワンピ。淡いピンク色のスカート揺らし、ヒョコっと更衣室から顔を出した。

「これ、いいかな…?」

「……とっても綺麗です…」

バジルは思わず魅入って口元に手を当てた。

「そう?じゃあこれ、候補かも。なら、違うのも着てみるっ」

「はい」

ポカンと口を開ける彼を置いて、彼女は更衣室へと戻っていく。

(拙者は何を考えているんだ…。一瞬、誰にも見せたくない、だなんて…)

そう思っている刹那、更衣室から小さく彼女の声が聞こえた。

「い゙…っ」

「…名前殿?どうかしましたか?」

「ん…何か、どうしよー…」

「名前殿??」

彼は不安に思って更衣室へ近づく。すると、彼女は微かにカーテンを開けると、涙混じりの目で彼を見上げた。

「脱げなくなっちゃった…」

「…はい?」

「髪、絡まっちゃって…」

彼女は反回転して彼に背を向けると、髪を持ち上げて後ろのファスナーを見せた。

「っ、拙者がとるのですか…?!」

「他にいないもんーっ」

ファスナーは途中まで下りていて、ブラのホックが少し見えているところだった。そんな中、彼は赤面せずにはいられないだろう。

「…っ、…では、失礼します…」

ファスナーに引っ掛かっている髪をゆっくり解いていって、少しずつファスナーを下げていく。あともう少しで取れるというときに、彼の手が背中に触れてしまい、彼女はビクッと身体を跳ねさせた。

「…ん、っ」

(くすぐったいよ…!)

しかし彼はそれにドキリと胸を鳴らした。

(今の、名前殿の声…?!)

ドキドキしながらファスナーを下ろし、ついに絡まった髪は解けて下の方まで下すことができた。が、しかし、この先どうすれば良いのか。彼は今にも飛びそうな理性を保ちながら顔を背けた。

(しかし…)

チラリと再度見てみると色っぽいうなじ。羞恥のためカタカタと僅かに震えている彼女が、愛しく思えて仕方がない。

(ああ、もう限界です…)

彼はついに我慢できず、彼女を後ろから抱き締めた。

「えっ、バジルくん…?!!」

「申し訳ありません…拙者、もう」

ちゅ、と項にキスを降らせば、彼女は微かに吐息を吐いた。そのまま舌でなぞってみると、彼女はゾクゾクと震えあがって。

「んっ…、バジルく、…っ」

「申し訳ありません…」

軽く吸ってみれば、そこには紅く華が咲く。その度彼女はビクリビクリと反応し、それは彼を煽るもの以外の何物でもない。緩く甘噛みをするのを最後に、彼女は腰を抜かして その場に座り込んでしまった。

「はっ…バジル、く、…もう私…っ」

「…拙者もです。すみません…」

彼も彼女を追うように座り込むと、そのまま彼女を押し倒した。










「…申し訳ありません…」

「いや、別に良いけど…」

帰り道。
足に力が入らなくなった彼女をおんぶし、彼はゆっくりと沢田家へ向かっていた。その間、彼は日本に来て今回が1番充実していたな、と秘かに思うのであった…。




END

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リクエストくださった藤若様へ。一生懸命書きました。色々と調べて口調とか研究したけど、間違ってたら言ってください。でもバジルくんは好きですよ(笑)
それでは、藤若様も更新頑張って下さいね!毎日読んで応援してます。
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