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プルプルプル―…
名前の着メロが鳴った。名前は人によって着メロを変えている。この着メロは…と思い答えが出た瞬間、慌てて電話に出た。

「もしもし?」
「遅ぇ」
「ちゃんとワンコールで出たじゃん!」
「鳴る前に出ろ」
「…」

なんて無茶を言う人だ。まあ、ザンザスが無茶を言うのはいつもの事だ。こないだだって…まあこの話は止めておこう。

「で、何の用?」
「20秒以内に俺の部屋に来い」
ザンザスはそれだけ言うと電話を切った。
「ちょ、20秒!?」

名前は走ってザンザスの部屋に行った。








「ん、ハァ、ハァ…」
およそ一分でザンザスの部屋に着く。
ザンザスが命令した時間とは酷くかけ離れているが、実際20秒で行くなんて無理な話。
ましてや一般人の名前にとっては夢のまた夢のようなタイムだ。
名前はドアをノックする。だがいつもの事で返事は返ってこないので形だけのノック。勝手に入る。

名前が部屋に入るとザンザスは大きすぎて立派すぎる机に足をのし、大きすぎて立派すぎる椅子に座っていた。

顔はいつも不機嫌そうなのだが今日は顔だけでなく雰囲気も不機嫌そうだ。
私は何か悪い事したかな、と不安になってくる。この威圧感満点、不機嫌さ満点の男と一緒にいて不安にならないわけがないのだが。


「えーっと…要件わぁ…」
恐る恐る聞く。だが名前を怖がらしている当の本人はというと、
「黙れ」
一向に機嫌をよくしようとはしない。

こうなったら質問攻めだ。名前は決心した。

「私何か悪い事した?」
「…別に」
「だったら何で不機嫌なのよ」
「不機嫌じゃねぇ」
「不機嫌じゃないの」
「…うるせぇ」

ザンザスというのも中々としつこい男だ。しつこい、というよりは頑固なのか。

名前は最終手段に入る。ザンザスをしゃべらせるための最終手段に。

「じゃあ私もう行くね。ザンザスが理由行ってくれないならね。じゃあまた今度。」
それだけ吐き捨てるように言ってドアノブに手をかけた瞬間、

「待て」

ザンザスが名前を呼んだ。
名前はニヤリとする。ザンザスというのは扱いにくそうで、実は扱いやすい。
自分が思ってる事をはっきり言わないだけで、実は優しいのだ。名前はそれを知っている。だからこそこんなに近くまで行けるわけなのだが。

「お前こないだ…」
ザンザスの眉間のシワが増える。
「何?」
これから言われるであろう自分の悪態についていけるよう名前も身構える。

「他の男とヤっただろ」

一瞬時が止まった。
時が止まったということはどうやらザンザスの言った事は正しいらしい。
名前の顔が赤くなる。
「何でヤった」
ザンザスの顔は無表情。しかも冷静。だからこそ余計怖い。

「だってザンザスが長期任務でいなかったから…」
「俺以外とヤっていいと思ってんのかカス」
「だって…こらえきれなくて」
「…はっ!」

そう言ってザンザスは椅子から立ち上がる。そして名前の方に行き、
「ふあァっ!!」

ぬいぐるみを持つかのように軽々と名前を持ち上げ、ベッドに投げ込んだ。そしてザンザスもベッドに向かう。ザンザスの口角が微妙に笑う。普段無表情か笑うかしか表情を見せない彼の口角が上がるなど珍しい。何かを企んでるな、など素人でもわかる。
その『何か』が付き合いが長くいつもザンザスの近くにいる名前には分かる。


「え…今から?」
「黙って服脱げ」
などとザンザスは言うがそれも口だけで、もうザンザス自身が名前の服を脱がしにかかってる。


「まだ私ならしてないよ?」
名前が心配するのもわかる。ザンザスはならす暇など与えない。まあ上級者なのだが。

名前の服が脱がし終わる。

「黙っとけよ。」

ザンザスはそれだけ言うと、名前の唇と自分の唇をあて、舌を絡ませる。
「ん、はァっ、ぁァ…」
ザンザスのキス、ディープは深い。その上激しいのでいつやっても苦しい。いつかそれをザンザスに言ったところ「馴れろ」とだけ言われて終わった。

絡んでいた舌がはずれる。だがその舌は名前の顎、首、鎖骨とどんどん下に下りていく。そして名前の胸に差し掛かった時
「ぁ、あァっ!」
名前はかすかに声を上げた。ザンザスはニヤリとし、そねまま下に下りていく。

そして名前の膣に指を突っ込んでいく。
「ふぁ、ァあ!ッ、…」
一本、また一本、とザンザスは指の本数を増やしていく。
それに比例し、名前の声は大きくなっていく。

「今日は開きが悪ぃ」
ザンザスは不満げそうにする。それはこれで面白い、と彼は思うのだが。

「入れるぞ」
ザンザスは自分のベルトに手をかける。
「ちょ、ちょっと今日はや…ゥァあ!ハっ、ふァァ!」
ザンザスは名前の言葉を無視し、お構いなしに入れていく。

「出すぞ」
「え、早い。え、ァ」

名前の体を生温かいものが浸透する。
「ァァァァアアア!」
嗅ぎ声、というかもはや絶叫に近い。
ザンザスは自分の雄を名前の体内で優雅に動かせながら、彼女の唇と自分の唇を密着させる。
実に器用な男だ、というか馴れているのか。

名前はそんな事を思いながらザンザスの気迫におされイッてしまった。



次の日、名前は朝起きると自分のベッドにいた。昨日の事を思い出すと顔が赤くなる。
ふと横を見ると紙きれが置いてあった。名前は無意識にその紙を開いた。
その紙きれに書いてある雑な、だが綺麗な文字をひらって読んでいく。読み終わった時、名前はクスッと笑った。
嗚呼、彼は何て可愛いんだろう。嫉妬深い彼も大好きだ。






『俺以外とヤったらかっ消す』
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