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久々に喧嘩した。本当に久しぶりすぎて本当に腹が立った。原因はすごく小さいこと。でも許す気なんてさらさらない。

(あっちが悪いんだから、仕方ないでしょ?)

楽しみにしていたデートを忘れていた上、謝りもしないなんて。

(だから私も約束なんか守ってやらない…!)




(( 束縛 ))




ヴァリアー幹部全員で談話室にいた。いつもは彼の隣に座る彼女も今日はフランの隣。

「あれ、センパイ…ミーの隣で良いんですかー?」

「ん、何が?」

「だって堕王子、すっごいこっち睨んでますよー」

確かにチラッと視線を向けたらいつもの笑顔などまるで無い。頬杖をついて怒っているようにこちらを見ているのだ。

「気にしないで、今日は良いから」

(いっぱいフランと仲良くしてやるんだから…!)

彼との約束とは、そう。他の男と話すな、ということだった。

(どうせ私を束縛して嫌がらせのつもりなんだろうけど…)

しかしそれは違った。彼女はそれに気付いていない。



それからフランとばかり喋っている。任務の話とかスクアーロの話とか、時間も忘れていっぱい話して。たまに彼女がフランの肩を叩いたりフランが彼女に耳打ちしたりする。それにいちいち彼はストレスをためているのだがそれに気付くのもフランだけだった。

(不憫なセンパイ…)

そう思いながらもフランはいつもより挑戦的だ。優しく彼女の肩を抱いてみたり頭を撫でてみたり、全て彼に見せ付けるかのように。終いには、名前がこんなことも。

「じゃあ、ミーはそろそろ任務なんで抜けますねー」

「あ、私も行くよー?今日非番だからさ。2人の方が早く終わるでしょ?」

ニコッと笑って見せてそれで無意識なんて残酷だ。彼はついに立ち上がる。

「おい」

「…何」

あからさまに声のトーンをおとす。彼女は彼の方を向きもしない。

「フラン、早く行こー」

「え、でも、」

「早く」

彼女に背中を押されながらフランはチラッと彼に目をやった。そしていつも半開きの目を見開くほどにフランはゾクリとした。彼からはすごい殺気が感じられたからだ。







フランの任務を手伝った後彼女は自室へ戻った。もうすっかり遅くなってしまって部屋の中は真っ暗だ。隊服を脱ぎながら部屋の電気をつけると…、

「…ベル?」

ソファの側に腰かけ頬杖をついていて窓の外を見つめていた彼に気づいた。

「何でいるの?」

「…お前、帰ってくんの遅ぇ」

「はぁ?」

(何であんたにそんなこと…)

内心げんなりしながら彼女は脱ぎかけていた隊服をまた着る。

「何で任務行ったんだよ」

「別に関係ないでしょ」

煩い彼を置いてシャワーを浴びようと思いバスルームへ向かおうとしたら彼はこちらまで歩いてきて力強く肩を掴む。

「いっ…何すんのっ」

「俺フランと話して良いなんて言ってねぇだろ」

いつもと違って怖い。彼女は震えながらもその手を振り払った。

「先に約束破ったのはどっちだと思ってんの?!」

また昨日と同じように喧嘩が始まる。

「お前、まだ引きずってんのかよ」

「当たり前でしょ?!だって私がどれだけ、」

(どれだけ楽しみにしてたか…!)

でも悔しくて言えない。グッと下唇を噛んで視線を逸らす。

「ベルのばか…」

泣きそうになるのを必死に堪えた。自分ばかり好きで自分ばかり余裕がない。約束を1回破っただけだからと笑って許せる余裕などどこにもないのだ。とうとうこらえきれなくなった涙がこぼれ落ち、彼女は慌てて顔を背けた。

「何でお前が泣いてんの?」

「え…、」

「泣きたいのはこっちだっつーの」

(…?)

状況が上手く掴めない。

(ベルに泣く要素なんてこれっぽっちもなかったじゃん…)

首を傾げるといきなり顎を掴まれる。

「あのバカガエルにこんな泣き顔見せてねぇだろうな?」

「え…、う、うん…?」

彼女が頷いたと同時に彼は彼女の腕を引いて抱き寄せる。

「ちょ、ベル?!私まだ怒ってんだからねっ」

「うるせ。…王子傷付けたんだから責任はとってもらうからな」

(傷付けた…?)

彼女はますます首を傾げた。一方的に抱きしめられては少し苦しいと背中を叩く。

「ねぇベル、傷つけたって何?」

「…他の男と話してたし」

「え?」

「しかも俺の前で仲良く。…俺のこと困らせたいわけ?」

「どーゆーこと?ベルの束縛って私への嫌がらせじゃないの…?」

「何で嫌がらせなんかすんだよ…」

彼はふと離れて彼女を見つめる。

「お前のこと好きすぎておかしくなりそう」

「…!」

カァッと顔が赤くなる。

「だから嫌なんだよ。他の男と話すな。俺が変になんだろ」

「そ、んな…」

反論しようとしたが唇を塞がれて遮られた。いつもと違って優しいキス。それに思わず騙されてしまった。

ドサリと下ろされたのはベッドの上。お姫様だからと言ってエスコートされたわけだが正直恥ずかしい。それでも王子様はいつでもリードをしてくれる。
唇に、首筋に、耳元に、キスを降らされた。鎖骨を甘く噛んだ後、彼は首筋にキスマークを付けはじめる。他の男避けのためにだ。いつもは跡をつけるなと彼女に言われているのだが今日くらい。彼が顔を上げた時にはもう彼女の首筋や胸にはたくさんの朱い印が刻み込まれていた。彼女はムスッと眉を顰めると彼のシャツを掴み彼を引き寄せる。

「私もやるからね」

首の付け根辺りに唇をつけ吸い上げる。かなりの力を入れたはずなのにあまり濃くは付かなかった。

「あれ、もう1回…」

「ししっ、下手くそ」

「んー…っ」

また上手くいかない。彼女はしっかり刻みたいので何度も何度もそこへ口づけ強く吸った。彼も初めはニコニコしていたのだがだんだんと暇になってくる。だからといってやわやわと胸を揉みはじめると彼女はビクリと反応するわけであって。

「んっ、ちょっと、まだ…っ」

「良いじゃん、続けろよ」

「…!」

その余裕が少々悔しくも思うが再びキスマークを付けようと吸う。しかし彼は待ってくれずもう彼女の下着を脱がせて胸の突起を暇そうにカリカリと爪で引っ掻いていた。

「ん、あ…っ」

「止まってるぜ?」

「ベ、ル…ッ」

もう吸う力など残っておらず彼女はただ彼の首筋に口づけているだけの形となってしまっている。彼は1つを口に含みもう1つをゆっくり指で転がした。ここも少しきつく吸い上げ指で締め付ける。彼女はただ高い声を上げることしかできなかった。

「あっ、ベル…っ」

「何、気持ち良い?」

「ッん、ばか…!」

それでも否定はしない。彼はししっと笑った後、彼女の十分に熱くなったところへと手を這わせていく。ツゥ、となぞってみると、彼女は大きく肩を揺らした。

「あ、っ」

「すっげー濡れてる。やっぱ気持ち良かったんじゃん?」

「言わなくて、良い、し…っ」

もう息もかなり上がっている。彼は秘部に指は入れずその周辺を焦らすように執拗に触った。

「なぁ、名前?」

「んんっ、は…っ」

彼女がトロンとした目つきで彼を見上げると彼は満足気に口角を上げた。

「欲しい?」

素直にコクンと頷けば彼はさらにご機嫌。

「じゃあもう2度と俺の傍から離れんなよ。俺の隣はお前のために空けてあんだから」

「ん、分かっ…は、」

熱い吐息を漏らす彼女に少しドキッとしながらも、彼は余裕そうな笑顔を見せた。そしてお望み通り指を入れれば彼女はブルッと身体を震わす。

「まだイくなよ?」

「ん、んん…っ!」

そう言われて必死に力を入れて耐えようとしている彼女だが、それでは締め付けだけが強くなってますます感じてしまう。さらに言った本人も彼女を追い詰めるかのように親指で花弁をクリクリと弄りはじめるのでたまったものではない。ビクンッと身体を跳ねさせ、彼女は達してしまった。

「あーあ、まだ王子愉しんでないのに」

「あ、あ…っ、もう無理…!」

余韻にひたりながら彼女はぐったりと身体から力を抜く。しかし彼がそれを許すはずもなく。

「最後まで責任とれって」

「え、ちょっ…きゃ、あ?!」

彼女の脚を大きく開かせると、彼は鬼畜にニヤリとした。







翌日。

「おはようございます、名前センパイー」

「えっ、あっ、おはよう!」

フランが彼女に話しかけると彼女は咄嗟に3メートルくらい距離をとった。昨日あの後も散々抱かれた所為だ。

(ベルセンパイ、やっぱ妬いてたんですかー…)

フランはそのことに気付きそう思いながらも何も気付かない振りをして彼女との距離を近づけようとする。

「センパイ、髪にゴミついてますよー」

「え、どこ?」

「ほら、ここー」

ついに彼女の髪に触れ、何もないが取った振りだけする。

「ありがと、フランー!」

「いえ、大丈夫ですよー。それより、さっきから堕王子が睨んでくるんですけどー、何かあったんですかー?」

そして今そこに来た彼を顎で指しながら知らん顔。わざとらしく首まで傾げて見せると彼女の顔がみるみるうちに青くなっていった。

(今日も寝れませんね、センパイ)

フランは心の中でクスッと笑うと彼から危害が加えられないうちにとっととその場から立ち去ることにした。




END

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キリ番リクくださったアリス様ありがとうございました。今回は嫉妬とのリクだったので、そっちの方の設定が難しくて集中しちゃいました…そしてフランが大好きというのがだだ漏れなオチですみません!これからもよろしくお願いします。
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