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※学パロ




「すみません、遅れましたー」

ガラガラ、と生徒会のドアを開けた。帰りのHRが終わって直ぐ生徒会役員は生徒会室に集合と聞いていたので、担任に長々と引き止められていた彼女は20分遅れだ。それなのに中にいたのは会長1人。ぱあっと顔を輝かせてこちらに走ってくる彼の格好といえば…




(( ハロウィン ))




「名前ちゃあんっ」

―ピシャ

冷静にドアを閉め、鞄を肩に掛け直して帰ろうとする。しかしすかさずドアが開き、腕を掴まれた。

「待って!待ってよ!」
「離してくだ、ああもう何その格好!」

離せと訴え終える前に腕を振りほどき、苛々と声を上げた。

「だって今日、ハロウィンじゃん!」
「だからって、え、何に仮装したんですかそれ」
「えっと、女子中学生とか?」

セーラー服をバッチリ着こなしている彼は、目をきゅるんと輝かせて上目遣い。可愛い顔に似合ってしまうのが気に食わないが。

「ってことで、今日はハロウィンパーティーなの!」
「うわ、帰りたい〜…」

再び腕に纏わり付いてくる彼に冷たい視線を投げながらも、渋々生徒会室に入った。中はやはり、誰もいない。

「会長、他の人はいないんですか?」

その時、カチャ、と音がしてそのドアが鎖される。

「ん〜皆でやりたかったんだけどね、皆今日は忙しいらしいんだぁ」
「え、今何で鍵かけたんですか…?」

彼はまた可愛く笑って見せた。

「だから今日は、2人でしようね」

目だけは、妖しく光らせて。
一瞬、危ないと思って身体中がドクンと脈打ったが敢えて平静を装う。

「じゃあお菓子下さいよお菓子」
「ハロウィンっぽく言ってー?」
「Trick or Treat」

間髪入れずに言ったら、にこりと笑って一口サイズのチョコレートを数個差し出してくる。

「はい、どーぞ」
「…どーも」

(何か怪しいよね、今日…)

それを受け取り、その辺のソファに適当に座る。1つチョコを口に含むと、彼はにこにこしながら隣に座ってきた。

(何なの、その笑顔は…)

もぐもぐと口を動かしていれば、彼は「じゃあ俺も」と、顔を近付けてくる。

「Trick or Treat!」
「はい」

にやりと笑う彼に向かって、先程貰ったチョコレートをそのまま返す。不意をつかれて驚いたのか、彼は目をしぱしぱさせた。

「…何で、」
「え」

ふるふると肩を震わせている。

「何でそのまんま返しちゃうの!そこはさ、
『ごめーん私今日持ってないのー』
『そうなんだーじゃあ悪戯しちゃうぞ☆』
っておいしいことするお約束じゃん!!」
「ばかっ、なっ、イカ!」
「イカ?!」

それからいつものように頭を強く叩かれ、怒鳴り立てられる…はずだった彼なのに。なかなか彼女が手を出してこないから不思議に思って目をやると、彼女の顔はカァァッと音が聞こえそうなくらいに真っ赤になっていて。

「え、名前ちゃん…」

(何その反応…)

ゴク、と彼が唾を飲む。それから彼女の脚の間に左手をつき、ギシリとソファに音を立てさせた。

「会長…?」
「だめ。…名前ちゃん、可愛すぎるもん…」

徐々に距離が縮まり、唇に彼の指が触れる。

「シちゃだめ?」
「な、ここ学校…っ」
「名前ちゃんがいけないんだよ」

ちゅ、と軽く口づけられ、また顔を覗き込まれる。

「今日は幸い、皆忙しいらしいし?」
「もー…会長、それが狙いだったんでしょ…」
「え〜違うもーん」

ニヤッと笑うと彼女の耳にキスを落とし、「今日は『会長』じゃなくて良いからね」と囁いてから彼女の身体を倒した。




END

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「お菓子はいいから悪戯させてえええ!」と問答無用で押し倒す閻魔も良かったのですが、やっぱりあざとい閻魔が好きです(照)
名前様、お付き合いありがとうございました。

20111031
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