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いつも思っていた。その空いている左手を自分の右手と繋ぎたいと。タイミングが掴めないわけではない、自分が素直になれないだけだなんて百も承知だ。
なかなか素直になれないのは、彼女への愛が大きすぎるから。
(( ただ繋ぎたくて ))
朝早くから買い物に付き合えと言われて街に来ているのだが、今日こそ繋ごうと、彼は思うのである。しかし自分から繋ごうなどと言えるはずもない。プライドが高い分、なかなか素直になれないというものだ。
「フランー、次あそこ行って良い?」
「え?ああ、良いですよー」
今日はその事で頭がいっぱいで、彼女に話し掛けられても上の空だ。
先程からチラリチラリと彼女の左手を見るのだが、どうしてもタイミングが分からない。
(ミー、かっこわるー…)
買い物が終わると、帰り道。彼はうずうずしていた。
(早くしないとアジトに着いちゃいますねー…)
するとそんな彼に気が付いたのか、彼女は不思議そうに首を傾げた。
「どうしたの?」
「はい?」
「いや、何か考え事してるみたいだったからさ」
「え」
(そんなに態度に出てたんですかー…)
「な、何でもないですー」
格好悪いと思いながらも、繋ぎたいのだから仕方ない。街を歩くカップル達は皆手を繋いでいて、どうやったらそんなに自然と繋げるのか、と疑問に思い出したくらいだ。
それを見ていた彼女は、やっとそれを悟ったかのようにフッと笑って手を繋いでくる。
「っ?!」
「どしたの?」
フランの顔は、カァァッと一瞬にして赤くなる。
「な、何なんですかぁ…っ」
「いや、フランが繋ぎたそうだったから」
「、ッ」
(うわ、めちゃくちゃかっこわるいー…)
彼は赤面する顔から気を逸らすように繋いでいた手を1回離し、また繋いだ。今度は親子がするような繋ぎ方ではなく、きちんと指と指を絡めた繋ぎ方。これに今度は彼女が赤面する。
「もう、フランってば…」
「名前センパイからしてきたんだから、良いじゃないですかー」
やっと繋げた嬉しさを噛み締めながら、彼は今日も素直になれてはいなかった。
END
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フランをめちゃくちゃ照れさせたかっただけだと思います。フランはツンデレだと信じています。かなり過去の文章で読みづらかったと思いますが、名前様、お付き合いありがとうございました。
20110924
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