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※グロ/ヤンデレ要注意
また睨まれる。いつだってそう。笑いかけてくれたことなんて、1度だって。
「ねぇ名前チャン、」
“僕のことが嫌い?”
そう聞くと、彼女はコクンと頷いた。
(( 重い気持ち ))
彼女は、彼が大好きで大好きで仕方なかった女性。一目で気に入り半ば強引にミルフィオーレファミリーに入れてしまった。彼女だって最初は嫌がったが徐々に慣れてきたのか、そんな素振りも無くなった。仕事は早いし何より彼に忠実で。そんな彼女が可愛くて可愛くて仕方なかった。しかし、彼女に彼は見えていなかった。彼女が密かに想っていたのは、入江正一。ちょっとは信頼していた部下に大好きな人をとられて。知ってしまったその日に、彼は正一を殺し、彼女を自分の部屋に監禁しだした。
そして、今に至る。
彼は毎日毎日同じ質問を繰り返した。もしかしたら自分のことを好きになってくれる日がくるかもしれない。そう願って。
彼女が首を縦に振ることはなかった。
「何で?どこが嫌いなの?」
彼は笑顔で問う。
彼女の足はもう、大事な筋が全て切られていて歩けないほどになっている。さらに腕は背中の方できつくきつく縛り上げられていて。声だって出せないように声帯を潰してしまったから話せないことは彼には分かっているはずなのに。
「ねぇ名前チャン、聞いてんの?」
彼女の体中についている痣は、全て彼がつけたものだ。それを悪化させるように彼はまた彼女の腹を蹴る。どんなに痛くても声にはならない。彼女はただ顔を歪めるだけだ。
「ねぇ名前チャン、好きって言って?」
ふるふると首を横に振られた。それは声が出せないからNOなのか、好きではないからNOなのか。そんなこと分かっている彼はますますいつも以上の笑顔を見せるだけである。
「好きだよ、名前チャン。だぁいすき」
またふるふると首を振る。
(何で僕を拒絶するの…)
“こんなに、好きなのに”
彼女は泣いて首を振った。何度も何度も、彼に分からせるように。
まだ話せた頃には何度も殺してくれと頼まれた。あまりにしつこい彼女に思わず声帯を潰してしまったくらいに。しかし正一の後なんか追わせない。彼は今日も彼女を蹴るだけ蹴ってニコリと笑う。
「名前チャン、また明日ね」
食料なんか与えない。水分だけを与えているため明日生きている保証はない。それでも自分の手では殺してやらない。
白蘭は彼女の額にキスを落とすと、泣きじゃくる彼女に愛を囁いてから部屋を出ていった。
重すぎる愛を、彼女に押し付けて。
(名前チャン、大好きだよ…)
END
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白蘭さんを病ませたかっただけの自己満足な小説になってしまいましたうふふ。白蘭さんはヤンデレなんじゃないかと常日頃思っている私はもう末期ですね!名前様、お付き合いありがとうございました。
20111112
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