夜空に広がるは満天の星。

キミも見てるのかな?。
見てたらいいな…。

どこにいても空は同じだから。
少しでも繋がっていたい。



控えめなノックの音。
中から返事が聞こえ、静かに扉を開く。

「今日も来ちゃった」

かわいらしく扉から顔だけをひょこりだして申し訳なさそうな表情で訪ねてくる、同じクラスの三上さん。

「いらっしゃい、三上さん」

三上さんはたわいない話をしてくれた。
些細なこと…。
真田達が来てくれるのも嬉しく思うのに、三上さんが来てくれた時に思う嬉しい気持ちは違う。
それだけで幸せな気持ちが溢れてきて、知らず知らず笑っている俺がいるんだ。

「そうだ!これ今週分の内容ね」

にこりと笑いながら鞄から教科によって分けられたノートを渡された。
自分の分だけでも大変なのに、渡してくれるノートには解説まで付けてくれている。
そんな彼女の優しさが心に染み込んで温かい気持ちにさせたと同時にすまなさが込み上げてきた。

「ごめんね、ありがとう」

それしか言えない俺なのに三上さんは先程よりも綺麗な笑みを見せながら顔の前で手をブンブン左右に振ってくれた。

しかし手を下ろした時、不意に見えた切なげな顔が俺の胸を締め付ける…。
‘良い友達’である俺には彼女の陰る笑顔の理由を聞かずにはいられない。
「何かあった?」の言葉に三上さんは頬を染めて目を伏せ、手をもじもじとさせながら静かに口を開いた。

嗚呼、この表情は過去に何度も見てきた。
しかし相談だったなら?
きっと俺はこれ以上ないって位、相手に何かしでかすかもしれない。

「す、好きな人っているの?」

少し自惚れてもいいのかな?
さっき頭に過ぎった見知らぬ第三者が音を立てて硝子のように崩れ去った。
自然と頬が弛んでくるのを堪えて返事をし返す。

「三上さんは居るの?好きな人」

わざと質問に質問を返して彼女の反応を見る。
悩んでる。俺が答えを言わなかったから。
一度俺へ視線を当てた彼女に飾っていない微笑みを向けた。

「ゆ…幸村君を好きだって言ったらどうする?」

「凄く嬉しいな…。俺も三上さんが好きだから」

意を決した様に自分の気持ちを言った三上さんに俺は返事と共に彼女の頬に手を伸ばした。
伸びてきた手にピクリと反応した三上さんはギュッと目を瞑り連れてこられて直ぐの子猫の様に震えている。
それに伴って俺も緊張していた。
何でもない様に振舞って、でも心臓は三上さんに聞こえるのでないかというほどに大きく鳴って、手が震えないようにするので精一杯だった。

徐々に近づいていく彼女の顔はあまりにも綺麗で理性というものを崩しにかかるが我慢。


そして触れるだけのキス…


顔を離した俺たちは見つめ合い、同時に笑う。
窓から差す心地よい日だまりを感じながら「また明日」と三上さんを送り出した。



色付いた
病は気からって本当かもしれない。



2011.10/29 掲載


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