『黒崎‥』
 
 
割って入ってきた黒崎くんは、ため息をつきながら言った。
 
 
『ったく‥冬獅郎、お前あんまり自分の嫁いじめんなよ?』
 
 
『『嫁じゃないから』』
 
 
‥もう本当、なんなんだろうこれ。
 
入学早々に先生が口に出した勘違いのせいで、あたしと日番谷くんはすっかりセット扱い、カップル扱いだ。
 
‥そりゃ、元を辿れば悪いのはあたしだけど!(これについては本当にごめんなさい!)
 
 
『あー‥じゃあわりいけど、もう弁当だし冬獅郎借りてくわ』
 
『モノ扱いかよ』
 
 
雛森の方もルキア達が待ってるみたいだし、と言いながら黒崎くんはあたしの後ろを手で示す。
 
 
『あ、ごめんねっ皆!』
 
ルキアちゃんや七緒ちゃん達はこっちを見たままにっこり笑って合図してくれて。
 
(その際の『二人の時間だから気にするな!』とか『邪魔したら悪いと思って‥』なんていう言葉は聞こえなかったことにした。)
 
 

 
教室を出ていこうとする黒崎くんの後ろについた日番谷くん。
 
ちらっと見えたから、相変わらず綺麗な銀髪だなぁ‥なんて思ったら、顔だけこっちに振り返った。
 
 
 
 
『雛森』
 
『ん?』
 
 
 
 
 
『どうし‥』
 
『明日誕生日なんだろ?』
 
 
日番谷くんが、ふっと微笑んだ。
 
『‥‥‥』
 
 
 
『せっかくだし、消しゴムでもプレゼントしてやるよ』
 
お前、間違ってばっかだし‥なんて言って教室から出ていった。
 
 
 



『‥‥な、にそれ‥』


‥‥胸のあたりがきゅうってなったのは、トキメキじゃないと思いたい。

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