『‥起きてるか?』
 
 
『‥!』
 
 
 
この声は。
 
 
 
『シロ、ちゃん‥』
 
 
 
呟けば、開けるぞ、と声がして戸が静かに開かれて。
 
 
 
あたしは入り口のそばに座りこんでいたから、見上げる形で目が合った。
 
 
 
 
『‥桃!?』
 
 
こんな寒い部屋で何してんだよ、と焦った顔で言う。
 
 
そんなシロちゃんを見て、ほわんと心が温かくなった。
 
 
 
 
 
『暖房、壊れちゃったから‥』
 
 
 
『なに?』
 
 
 
シロちゃんはあたしの頬に手を当てて、滑らせるように撫でてくれる。
 
温かくて、気持ちよくて。
 
 
外で吹き荒れているはずの雪の音が、ぼんやりとした。
 
 
『桃、お前かなり冷えてんじゃねえか!』
 
 
そんな半分眠りかけてしまったあたしは、シロちゃんに抱き上げられたのがわかった。
 
 
 
 
『ふぇ』
 
『いくぞ』
 
 
‥どこへ?
 
そう思ったのが伝わったのか。
 
 
 
シロちゃんはそっぽを向きながら言った。
 
 
 
『‥俺の部屋に泊めてやる』
 
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