『じゃあじゃあ、夜にお部屋に遊びに行ったりしないのー?』
 
 
『なんで夜限定なんだ』
 
『だって、眠れなくなった時に一緒に寝たりとかできるよ♪』
 
 
無邪気に笑うやちる。やちるの場合は自分と剣八を基準にして考えているのだろうが‥。
 
 
日番谷とて、(見た目は小さくても、実年齢が百を越えてようとも)年頃の男子。
 
想い人である雛森と一緒に寝るなんて‥ぶっちゃけ、そこは色々と訳が違う。
 
 
 
 
『日番谷くんが隊長さんになってからは、一緒に寝てくれなくなっちゃった‥かな』
 
 
なんでそこで寂しそうに言うんだ雛森‥と日番谷は思いつつ、耐えきり続けた隊長になる前の自分を誉め称えた。
 
 
 
 
『ふ〜ん‥そういえば、ももちー、かき氷食べないの?』
 
 
『‥‥え?やだっ、かき氷溶けちゃう!』
 
 
雛森が声を上げた。やちるは(こんぺいとうと共に)かき氷を大方食べていたが、雛森は途中からすっかり忘れていたようだ。(雛森のために作ったのに‥)
 
 
 
焦った雛森は、急いでかき氷を持ち上げようとした。
 
 
 
『わ〜っ!容器から溢れそう‥っ、ふわっ!』
 
 
 
 
勢い余って、容器が飛んだ。
 
 
『‥あ‥』
 
 
 
雛森の手から離れたかき氷が、宙を舞う。
 
 
 
そしてそれは重力に逆らえずに、まっすぐ雛森に‥。
 
 
 
べちゃっ。
 
 
 
 
‥かき氷を頭に受けたのは、雛森を庇った日番谷だった。
 
『ひっ、日番谷くんっ‥!?』
 
『‥冷てえ‥』
 
 
 
『きゃーっ、大変!シロちゃんの頭が真っ赤にっ!?』
 
『いや、シロップだから』
 
 
 
 
雛森のかき氷は、苺味だった。
そして、それが直撃した日番谷の銀髪は、部分部分が赤く染まってしまったのだ。
 
 
さらには、死覇装の隙間から流れ込んでくる。
 

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