『‥‥‥』
複雑な気分で貴賓室へと入ってきた日番谷は、雛森とやちるの前にかき氷を置いてため息をつく。
『ありがとう、日番谷くん!一緒に座ろう?』
そんな日番谷の心情など知るよしもない雛森は、日番谷の腕を引っ張り隣に座らせた。
『ぉわっ‥!ひ、雛森っ』
『ほらほら、遠慮しない!』
‥‥そんな二人のやりとりを見ながら、やちるが一言。
『ひっつんとももちーって、昔からそうだったの?』
そう言ってから、机の上にあったこんぺいとうをかき氷の上にザーッと載せる。(練乳と絡み合って、恐ろしく甘そうだ)
『“そう”って?』
『ももちーの方がひっつんをリードしてたのかな、って』
『おい』
日番谷は、その激甘なかき氷に対してつっこむことも忘れて反応した。
『リード‥?』
雛森が意味を考えている間に日番谷が返答(?)する。
『別にそういうわけじゃねえよ!‥だいたい男が女に引っ張られるとか、かっこ悪いだろうが!』
『でも今引っ張られてたじゃん』
『!今のは意味がちが‥』
‥いや、結局同じなのか?という考えが頭を過り、日番谷は言葉をとぎらせた。
しかもそこに、雛森の爆弾発言。
『あっ、そういうことかぁ‥!‥確かに昔は、あたしが日番谷くんを引っ張ってたよね!ほら、一緒にお風呂入った‥』
『言うなぁぁぁ!!!』
『今も一緒?』
やちるがぴょんと身を乗り出した。
『んなわけあるかっ!!』
日番谷が顔を真っ赤にして叫ぶ。
『え〜でもひっつん、昔は一緒だったんでしょ♪ももちー、いつまで二人で入ってたの?』
『えーっと‥‥あたしが真央霊術院に入学したときには一人ずつだったから‥五十年くらい前まで、かな?』
『けっこう最近だね!』
長く長く生きる死神の感覚では、そんなものである。
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