『ひ、日番谷くん‥っ!』
雛森の耳が真っ赤になっているのが見える。このまま気にせず抱きしめておこう。
『だ、だめっ‥!』
‥そう思ったが、雛森が思い切り押し返したために、それは叶わなかった。
ちょっと(いやかなり)受けた精神的ショックを隠してムッとした顔で雛森を見れば、
『だ、だって‥今、人が‥』
と呟く。
‥俺は、虫除けになるからいい気もするけどな。
とりあえず、執務室の中に入ってしまうことにした。
雛森を先に入れ、俺も入って扉を閉める。
『もう、日番谷くんってば‥』
なんて言う雛森が可愛くて再び抱きしめようとしたら、また止められた。
『‥お仕事たまってるんでしょ?先に早く終わらせちゃおう?』
笑顔で言われてしまい、かなわなかった‥。うわ、俺情けねえ。
結局、真面目に書類に取り組みだしたのだが。
昨日、松本が言った言葉を思い出した。
‥そういや、“女心”がどうこうって言ってたよな‥?
書類をしながら雛森に、珍しくも自分から声をかける。(普段は松本から話しかけてくるか、松本がいないかだ)
『‥なあ、雛森‥。なんで今日、手伝いに来てくれたんだ?』
そう言っただけなのに。
『‥‥えっ!?』
雛森は顔をさっきのように赤くしながら返事をした。
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